クレメンティア
税理士事務所
少額減価償却資産の特例、使えていますか?
― 従業員基準の“落とし穴”と令和11年までの戦略的活用 ―
設備投資をしたのに、思ったほど節税効果が出なかった。
その原因は「従業員基準」の判定タイミングかもしれません。
今回は、中小企業経営者の皆さまに向けて、少額減価償却資産の特例(措法67の5)の実務ポイントと、今後の改正予定を踏まえた経営判断の視点を整理します。
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## 1.少額減価償却資産の特例とは?
青色申告法人で資本金1億円以下の中小企業者等は、一定の要件を満たせば、取得価額30万円未満の減価償却資産を「全額損金算入」できます。
通常であれば数年かけて償却するところを、取得年度に一括で費用化できる制度です。
✔ キャッシュフロー改善
✔ 課税所得の圧縮
✔ 投資判断の後押し
特に利益が出ている年度には、有効な税務戦略になります。
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## 2.資本金基準と従業員基準の違い
適用には2つの要件があります。
① 資本金基準:1億円以下
② 従業員基準:500人以下(特定法人は300人以下)
ここで重要なのが「判定タイミング」です。
### ■ 資本金基準
原則として
・取得日
・事業供用日
の現況で判定します。
つまり、期中で増資して1億円超になった場合でも、それ以前に取得・供用した資産については特例適用が可能です。
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### ■ 従業員基準
原則は資本金と同様ですが、例外があります。
従業員数は変動しやすいため、
**事業年度終了日で判定することも可能**です。
つまり、
期中に500人を超える期間があっても、
決算日に500人以下であればOK。
ここが実務上の重要ポイントです。
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## 3.経営判断にどう活かすか?
この制度は単なる「節税策」ではありません。
例えば、
・大型受注により一時的に人員が増える
・M&A後に統合作業で従業員が増減する
・期末に向けて組織再編を予定している
こうした局面では、従業員数の見通しと設備投資タイミングをセットで考える必要があります。
税務は「結果論」ではなく、
**事前設計がすべて**です。
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## 4.令和11年まで延長予定 ― ただし条件見直し
令和8年度税制改正では、
・適用期限:令和11年3月31日まで延長
・取得価額:40万円未満に引き上げ
・従業員基準:400人以下へ引き下げ(特定法人は300人以下のまま)
という見直しが予定されています。
物価上昇への対応として金額要件は拡大しますが、
従業員基準は厳格化される方向です。
「うちはまだ余裕がある」と思っている企業ほど、
数年後に要件を外れる可能性があります。
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## 5.経営者として考えるべきこと
税制は毎年変わります。
しかし本質は変わりません。
✔ 利益が出ている年にどう投資するか
✔ 人員計画と税務戦略をどう整合させるか
✔ 一過性ではなく、継続的なキャッシュフローをどう設計するか
税務はコストではなく、経営設計の一部です。
制度を知っているかどうかで、
数百万円単位の差が生まれることもあります。
「決算前に考える」のではなく、
「期首から設計する」。
それが、強い中小企業経営の土台になると私は考えています。
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