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税理士事務所

無利息でお金を貸しても大丈夫?宗教法人から公益法人への貸付けを税理士が解説

「宗教法人が、関係のある学校法人にお金を貸すことはできるのでしょうか?」

「公益法人同士なのだから、無利息で貸しても問題ないのでしょうか?」

宗教法人の運営に携わっていると、このような疑問が生じることがあります。

例えば、宗教法人と学校法人が親族関係にある方によって運営されていて、学校法人が幼稚園の建設資金を必要としているケースです。

宗教法人側に余裕資金があれば、

「銀行から借りるよりも、宗教法人から貸した方がよいのではないか」

と考えることもあるでしょう。

しかし、公益法人同士の貸付けだからといって、税務上まったく問題がないとは限りません。

特に注意したいのが、「利息を取るのか」「無利息・低利で貸すのか」という問題です。

今回は、宗教法人から学校法人などの公益法人へ資金を貸し付ける場合を例に、貸付けの手続きと法人税上のポイントを分かりやすく解説します。


## 1.宗教法人が学校法人にお金を貸すこと自体は問題なのか?

まず、宗教法人が学校法人に金銭を貸し付けること自体について考えてみましょう。

宗教法人が学校法人に資金を貸し付けることについて、直ちに「宗教法人の目的に反する」と判断されるものではありません。

ただし、多額の資金を貸し付けるのであれば、誰がどのように意思決定したのかが重要になります。

例えば、宗教法人の代表者である住職が、

「学校法人が資金を必要としているから、寺の預金から1億円貸しておこう」

と、一人の判断だけで決定することには慎重であるべきです。

多額の金銭を長期間にわたって貸し付けることは、日常的な宗教法人の業務とは異なる重要な財産管理に関わる問題だからです。

そのため、宗教法人の規則や関係法令を確認したうえで、責任役員会など、宗教法人として適切な意思決定機関による決議を経ておくことが重要です。


## 2.親族関係がある場合は、特に慎重に

今回のようなケースでは、宗教法人の代表者が住職、学校法人の理事長がその父親という関係が想定されています。

親族関係があることだけで貸付けが禁止されるわけではありません。

しかし、

「なぜ宗教法人が学校法人にお金を貸すのか」

「宗教法人にとって不利な条件になっていないか」

「返済される見込みはあるのか」

という点を、第三者にも説明できるようにしておくことが大切です。

特に多額の貸付けを行うのであれば、

・貸付金額
・返済期間
・返済方法
・利率
・担保や保証の有無
・資金の使途

などを明確にしておく必要があります。

口頭で済ませるのではなく、正式な金銭消費貸借契約書を作成しておくことも重要です。


## 3.公益法人への貸付けだから「収益事業ではない」とは限らない

ここからが法人税上の重要なポイントです。

宗教法人は、一般の株式会社とは異なり、原則として収益事業から生じた所得について法人税が課税されます。

そして、公益法人等が行う「金銭貸付業」は、法人税法上の収益事業に該当することがあります。

ここで注意したいのは、

「貸付先が学校法人だから公益目的である」

「相手も公益法人だから収益事業ではない」

とは単純に判断できないということです。

法人税法上の収益事業に該当するかどうかは、税法上定められた事業の類型に該当するかどうかによって判断されます。

そのため、公益的な目的で行った貸付けであっても、法人税上の収益事業として取り扱う必要が生じる場合があります。


## 4.利息を受け取る場合、宗教法人側ではどうなる?

では、宗教法人が学校法人にお金を貸し、契約どおり利息を受け取った場合はどうでしょうか。

この場合、その利息収入は収益事業に係る収益として扱われ、法人税の課税関係が生じることになります。

例えば、宗教法人が学校法人に1億円を貸し付け、年2%の利率を設定したとします。

単純計算では年間200万円の利息が発生します。

この利息については、収益事業に係る収入として計上し、他の収益事業の損益と合わせて法人税の申告を検討することになります。

つまり、

「宗教法人だから受け取った利息にも法人税はかからない」

というわけではありません。

宗教法人が行う宗教活動と、法人税法上の収益事業は分けて考える必要があります。


## 5.では、無利息で貸せば法人税はかからない?

ここが今回の最大のポイントです。

「利息を取らなければ、利息収入も発生しないので、宗教法人側には法人税がかからないのでは?」

と思われるかもしれません。

しかし、税務上はそう単純ではありません。

法人税法では、法人が無償で資産を譲渡したり、無償で経済的利益を供与したりした場合などについて、実際の金銭の動きだけではなく、その取引によって生じる経済的利益を考慮して所得を計算することがあります。

金銭の貸付けについても、通常収受すべき利息相当額を考慮する必要があります。

したがって、

「契約書に利息0%と書いてあるから、税務上も利息は0円」

と単純に考えることはできません。


## 6.無利息・低利貸付けでは「通常の利息」を考える

例えば、宗教法人が学校法人に1億円を貸し付けるとします。

金融機関から同程度の条件で借り入れた場合に、通常、一定の利息を支払うことになるとしましょう。

この場合、宗教法人が無利息で貸し付ければ、本来であれば受け取るはずだった利息を受け取らないことになります。

税務上は、その通常収受すべき利息相当額について収益が発生したものとして認識し、その一方で、受け取らなかった部分について相手方への寄附金として整理するという考え方があります。

つまり、

「無利息だから税務上の処理は何も必要ない」

とは限りません。

むしろ、無利息にすることで、宗教法人側に「利息相当額」と「寄附金」という別の税務上の論点が生じる可能性があります。


## 7.学校法人側では、利息を支払った場合どうなる?

では、学校法人側について見てみましょう。

学校法人が幼稚園の建物を建設するために資金を借り入れたケースを考えます。

通常の利息を支払う契約であれば、その利息は幼稚園事業のために必要な費用として扱われます。

また、建物の建設期間中に発生する利息については、建物を事業の用に供するまでの期間に対応するものについて、建物の取得原価に算入するという処理を検討することもできます。

したがって、利息を支払う場合には、学校法人側でもその利息について適切な会計・税務処理が必要になります。


## 8.学校法人側で無利息の場合はどうなる?

では、宗教法人から学校法人へ無利息で貸し付けた場合はどうでしょうか。

この場合、学校法人は実際には利息を支払っていません。

そのため、実際に支払った利息という費用は発生しません。

一方で、税務上、宗教法人側で通常収受すべき利息相当額について収益を認識する場合には、学校法人側ではそれに対応する経済的利益を受けているという関係が生じます。

つまり、

「宗教法人側では利息相当額の収益を認識する」

一方、

「学校法人側では、その利息を実際には支払わず、支払債務を免除されている利益が生じる」

という関係になります。

結果として、学校法人側では、実際に利息を支払った場合のような費用がそのまま発生するわけではない点に注意が必要です。


## 9.「公益目的だから無利息」で済ませない

宗教法人から学校法人への貸付けについては、

「どちらも公益法人だから、公益目的のために無利息で貸しても問題ないのでは?」

という考え方が出てくるかもしれません。

確かに、学校法人が幼稚園を運営し、その建物建設を支援することには、社会的・公益的な側面があります。

しかし、法人税法上の収益事業に該当するかどうかは、単に「公益目的かどうか」だけで決まるものではありません。

税法上定められた収益事業の類型に該当するかどうかという観点から判断する必要があります。

したがって、

「公益法人から公益法人への貸付けだから法人税は関係ない」

と考えるのは危険です。


## 10.無利息・低利貸付けでは「寄附金」の問題にも注意

無利息または低利で貸し付ける場合には、宗教法人側で寄附金の問題も生じます。

例えば、本来なら年間200万円の利息を受け取るところを、無利息にしたとします。

この場合、税務上は通常収受すべき利息相当額について収益を認識し、その一方で、受け取らなかった部分について学校法人への寄附金として整理する考え方が問題になります。

ここで重要なのは、

「利息を取らない=学校法人に何も与えていない」

とは限らないということです。

本来受け取るべき利息を免除すること自体が、学校法人に経済的利益を与える行為と評価される可能性があります。

そのため、無利息・低利で貸し付ける場合には、貸付契約を作るだけでなく、その税務上の影響まで事前に確認しておく必要があります。


## 11.多額の貸付けなら、宗教法人としての意思決定も重要

税務だけでなく、宗教法人の財産管理という観点からも注意が必要です。

宗教法人の財産は、代表者個人の財産ではありません。

そのため、住職と学校法人の理事長が親族関係にある場合であっても、

「身内だから貸してよい」

という判断ではなく、

「宗教法人にとって合理的な貸付けなのか」

という視点が必要です。

特に、

・貸付金額が大きい
・返済期間が長い
・無利息または低利
・担保がない
・借り手と宗教法人の代表者が親族関係にある

といった事情が重なる場合には、第三者から見ても合理的な条件であることを説明できるようにしておくことが大切です。

宗教法人の規則などを確認し、必要な機関の決議を経たうえで、意思決定の記録を残しておくことをおすすめします。


## 12.貸付けを行う前に確認しておきたい7つのポイント

宗教法人から学校法人などへ多額の資金を貸し付ける場合には、次の点を確認しておきましょう。

① 貸付けの目的

「幼稚園の建物建設資金」など、資金の使途を明確にします。

② 貸付金額

宗教法人の財産状況を踏まえ、無理のない金額なのかを確認します。

③ 返済期間・返済方法

いつから、どのように返済するのかを明確にします。

④ 利率

金融機関からの借入条件なども参考に、合理的な利率を検討します。

⑤ 担保・保証

必要に応じて、担保や保証についても検討します。

⑥ 正式な意思決定

宗教法人の規則などを確認し、必要な機関の決議を経ておきます。

⑦ 税務処理

利息を受け取る場合、無利息の場合、低利の場合、それぞれについて、宗教法人側・学校法人側の税務処理を事前に確認します。


## まとめ|「無利息だから簡単」ではありません

宗教法人が学校法人などの公益法人にお金を貸すこと自体が、直ちに問題になるわけではありません。

ただし、多額の資金を長期間にわたって貸し付ける場合には、宗教法人として適切な意思決定を行い、契約内容を明確にしておくことが重要です。

そして、税務上特に注意したいのが「利息」です。

利息を受け取る場合には、その利息収入について収益事業に係る所得として法人税の課税関係が生じる可能性があります。

一方、

「公益目的だから無利息で貸せばよい」

というわけでもありません。

無利息や低利で貸し付ける場合には、通常収受すべき利息相当額について収益を認識し、受け取らなかった部分について寄附金として扱うという税務上の検討が必要になる場合があります。

また、学校法人側でも、実際に利息を支払う場合と無利息の場合とでは、会計・税務上の処理が異なります。

特に、

「宗教法人の代表者と学校法人の理事長が親族である」

「貸付金額が大きい」

「返済期間が長い」

「無利息または極めて低い利率である」

といったケースでは、貸付けを実行する前に税務上の取扱いを確認しておくことをおすすめします。

公益法人同士の取引であっても、

「公益目的だから税務上も問題ない」

とは限りません。

宗教法人の大切な財産を守るためにも、貸付けの目的だけでなく、貸付条件、意思決定の手続き、利息の設定、税務上の処理まで含めて、事前に整理しておくことが大切です。

「無利息なら相手にとって親切だから大丈夫」と考える前に、その無利息という条件自体が宗教法人にとってどのような意味を持つのかを確認する。

これが、公益法人間で大きな金額を動かす際の重要なポイントです。

多額の貸付けを予定している場合には、契約を締結する前に、宗教法人側と学校法人側の双方で税務・会計の取扱いを税理士に確認しておくと安心です。


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