クレメンティア
税理士事務所
勤労学生控除とは?令和8年分の年末調整で中小企業が確認したいポイント
年末調整の時期になると、学生アルバイトを雇っている会社では、
「この学生は勤労学生控除を受けられるのだろうか?」
「会社側では何を確認すればいいの?」
と疑問に思うことがあるかもしれません。
勤労学生控除は、一定の要件を満たす学生が受けられる所得控除です。
令和8年分では所得要件が変更されているため、これまでの年末調整と同じ感覚で判断しないことが大切です。
この記事では、税理士の立場から、中小企業の経営者や給与担当者が知っておきたい勤労学生控除の基本と年末調整での確認ポイントをわかりやすく解説します。
1.勤労学生控除とは?
勤労学生控除とは、働いて収入を得ている学生が、一定の条件を満たした場合に受けられる所得控除です。
控除額は27万円です。
所得控除とは、所得税を計算するときに所得から差し引くことができる金額のことです。
そのため、勤労学生控除を受けることで、所得税の負担が軽くなる可能性があります。
ただし、「学生でアルバイトをしている」というだけで自動的に適用されるわけではありません。
いくつかの要件をすべて満たす必要があります。
2.勤労学生控除の対象となる「学生」とは?
まず確認したいのが、本人が対象となる学生等に該当しているかどうかです。
対象となるのは、たとえば次のような人です。
・大学、高等学校などの学生や生徒
・一定の要件を備えた専修学校や各種学校の生徒
・職業訓練法人が行う認定職業訓練を受ける訓練生
一般的な大学生や高校生のアルバイトであれば、この要件に該当するケースが多いでしょう。
ただし、専修学校や各種学校の生徒、認定職業訓練を受ける訓練生については、一定の証明書が必要になる場合があります。
会社側としては、「学生だから大丈夫」と一律に判断せず、必要な書類があるケースにも注意しましょう。
3.「働いて所得を得ていること」も要件
勤労学生控除という名前のとおり、勤労に基づく所得があることも要件の一つです。
ここでいう所得には、給与所得だけでなく、事業所得、退職所得、雑所得なども含まれます。
中小企業で多いのは、大学生や高校生がアルバイトとして給与を受け取っているケースでしょう。
この場合は、単純に「アルバイト代がいくらだったか」だけを見るのではなく、所得金額を確認する必要があります。
ここは年末調整の実務で間違いやすいポイントです。
4.令和8年分の勤労学生控除の所得要件
令和8年分については、勤労学生控除を受けるための所得要件があります。
年間の所得金額の見積額が89万円以下であり、かつ、その所得のうち勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であることが必要です。
ここで注意したいのが、「所得」と「収入」は同じではないという点です。
給与を受け取っている場合、給与収入の全額がそのまま所得になるわけではありません。
給与収入から給与所得控除額を差し引いて給与所得を計算します。
そのため、給与だけの場合には、年間の給与収入が163万円以下であれば勤労学生控除の適用を受けられるというのが一つの目安になります。
学生アルバイトの年末調整では、「年収はいくら?」だけで判断せず、「所得はいくらになるのか?」という視点を持つことが重要です。
5.学生アルバイトの給与収入と所得の違い
会社側が学生アルバイトから相談を受けたとき、
「今年のバイト代は○○万円です」
という情報だけで判断してしまうのは避けたいところです。
税金の計算では、給与収入と給与所得を区別する必要があります。
たとえば、給与収入が一定額あったとしても、そこから給与所得控除を差し引いた後の金額が所得となります。
令和8年分については、制度改正によって所得要件が変わっているため、過去の年末調整で使っていた基準をそのまま当てはめないよう注意が必要です。
年末調整の担当者は、その年の最新の資料を確認しながら処理することをおすすめします。
6.アルバイト以外の収入がある学生は要注意
もう一つ注意したいのが、アルバイト以外の所得があるケースです。
たとえば、学生本人がアルバイト以外に事業をしていたり、その他の所得を得ていたりする場合には、勤労学生控除の判定に影響する可能性があります。
勤労学生控除では、所得金額全体だけでなく、勤労に基づく所得以外の所得についても要件があります。
一方で、所得税が課税されないものや、一定の制度上、ここでいう所得に含まれないものもあります。
そのため、学生本人から「アルバイト以外にも収入があります」と相談された場合には、単純に収入額だけで判断しないことが大切です。
判断に迷う場合は、税理士などの専門家に確認すると安心です。
7.年末調整では「勤労学生」のチェックを確認
では、会社側では何をすればよいのでしょうか。
年末調整で勤労学生控除の適用を受けるためには、本人から会社へ**「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」**を提出してもらう必要があります。
その際、
「勤労学生」の欄にチェックが入っているか
を確認しましょう。
学生アルバイト本人が対象になることを把握していても、申告書への記載がなければ会社側で見落としてしまう可能性があります。
年末調整の書類を回収するときには、学生アルバイトについても通常の従業員と同じように、必要な項目が記載されているかを確認することが大切です。
8.専修学校などでは証明書が必要な場合も
専修学校や各種学校の生徒、認定職業訓練を受ける訓練生などについては、一定の場合に証明書の添付が必要となります。
具体的には、大臣の証明書の写しや学校長等の証明書が必要となる場合があります。
一般的な大学生のアルバイトと同じ感覚で処理してしまうと、必要書類の確認が漏れる可能性があります。
会社側では、
「どの学校に通っているのか」
「勤労学生控除の対象となる学校等なのか」
「追加の証明書が必要なのか」
を確認することがポイントです。
9.中小企業が年末調整で注意したい3つのポイント
学生アルバイトの勤労学生控除について、会社側が特に注意したいポイントを3つにまとめます。
ポイント1:学生だから自動的に控除されるわけではない
学生であっても、勤労学生控除には複数の要件があります。
「大学生だから対象」と決めつけないことが大切です。
ポイント2:「収入」と「所得」を区別する
年収だけを見て判断するのではなく、給与所得控除などを考慮した「所得」で判定します。
ポイント3:令和8年分の基準を確認する
税制は変更されることがあります。
前年の資料や過去の処理方法をそのまま使うのではなく、令和8年分の年末調整資料を確認して処理しましょう。
特に中小企業では、経営者自身が給与計算や年末調整の確認をしているケースもあります。
早めにチェック項目を整理しておくと、年末の事務負担を減らしやすくなります。
10.まとめ|学生アルバイトの年末調整は早めの確認を
勤労学生控除は、一定の要件を満たす働く学生が受けられる27万円の所得控除です。
令和8年分では、年間所得89万円以下などの所得要件があります。
給与だけの場合には、給与収入163万円以下が一つの目安となります。
中小企業の経営者や給与担当者が年末調整を行う際には、
・学生だから自動的に適用されるわけではない
・収入ではなく所得で判定する
・「扶養控除等(異動)申告書」の勤労学生欄を確認する
・必要に応じて証明書を提出してもらう
・令和8年分の最新の基準を確認する
といった点を意識しておきましょう。
学生アルバイトが多い会社ほど、年末調整の時期になってから一人ひとり確認するのは大変です。
「学生アルバイトについて、どんな書類を提出してもらうのか」をあらかじめ整理しておくと、年末調整をスムーズに進めやすくなります。
税金の制度は毎年少しずつ変わります。
年末調整は単なる「書類の回収」ではなく、従業員一人ひとりの状況を正しく確認する作業でもあります。
特に学生アルバイトのように、扶養や所得控除など複数の税制が関係しやすいケースについては、早めに確認しておくことをおすすめします。
※本記事は令和8年分の年末調整に関する一般的な情報をもとに作成しています。個別の適用可否については、本人の所得状況や学校の区分等によって異なる場合があります。実際の年末調整では、国税庁が公表する最新資料をご確認ください。
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