クレメンティア
税理士事務所
最低賃金2026年度改定|中小企業が発効日前に確認すべきポイント
1. 2026年度の最低賃金改定で中小企業が注意すべきこと
2026年度も地域別最低賃金の改定が進んでいます。
すでに一部の都道府県では地方最低賃金審議会から答申が示されており、今後、各都道府県で改定額と発効日が順次決定されます。
中小企業の経営者の方にとって重要なのは、「いくら上がるのか」だけではありません。
自社の給与が改定後の最低賃金を下回っていないか、発効日までに確認しておくことが大切です。
特に、パート・アルバイトを多く雇用している会社や、月給制の従業員がいる会社は注意が必要です。
2. 最低賃金は「発効日」から適用される
最低賃金は、改定額が決まった瞬間から適用されるわけではありません。
都道府県ごとに決められた「発効日」以降に働いた時間について、改定後の最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。
そのため、給与計算担当者は、
改定後の最低賃金額
自社の事業場に適用される発効日
発効日以降の給与
をセットで確認しておきましょう。
「給与計算のときに確認すればいい」と後回しにすると、給与計算システムの設定変更などが間に合わなくなる可能性もあります。
3. 正社員だけではない!パート・アルバイトも対象
最低賃金は、正社員だけを対象とする制度ではありません。
パート、アルバイト、臨時社員、嘱託社員など、原則としてすべての労働者が対象になります。
たとえば「アルバイトだから時給が少し低くても大丈夫」という考え方はできません。
従業員の雇用形態を問わず、最低賃金を下回っていないか確認することが必要です。
4. 最低賃金と比較する「対象賃金」とは
最低賃金と比較するのは、単純に給与明細の「総支給額」ではありません。
基本的には、毎月支払われる基本的な賃金を対象として確認します。
一方、一定の賃金は最低賃金の比較対象から除外されます。
そのため、
実際の支払額 − 最低賃金の対象とならない賃金
という考え方で確認することがポイントです。
「総支給額がこれだけあるから最低賃金はクリアしている」と判断すると、思わぬ見落としにつながります。
5. 最低賃金の計算に含まれない手当・賃金
最低賃金の比較対象から除外される代表的なものには、次のようなものがあります。
結婚手当などの臨時の賃金
賞与など、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
時間外勤務手当
休日出勤手当
深夜勤務手当のうち一定の部分
精皆勤手当
通勤手当
家族手当
一方で、役職手当など、対象となる手当もあります。
ここは給与体系によって判断が変わるため、「手当が付いているから大丈夫」と一括りにしないことが重要です。
6. 月給制の従業員は特に注意!時間額への換算方法
最低賃金は「時間額」で定められています。
そのため、月給制の従業員についても、時間額に換算して最低賃金を上回っているか確認する必要があります。
たとえば、基本給や対象となる手当を合計した金額を、その従業員の所定労働時間などに基づいて時間額に換算します。
月給が上がっているからといって、必ずしも最低賃金を上回っているとは限りません。
特に、月給制で給与水準が最低賃金に近い従業員がいる場合は、今回の改定をきっかけに一度計算してみることをおすすめします。
7. 最低賃金を下回っていた場合に必要な対応
確認の結果、改定後の最低賃金を下回る従業員がいた場合は、賃金の引き上げが必要になります。
ここで重要なのは、最低賃金の発効日を基準に準備することです。
「次の昇給月から変更しよう」と考えていると、発効日以降の賃金について対応が必要になる可能性があります。
給与計算担当者だけでなく、経営者自身も改定日を把握しておくと安心です。
8. 給与計算だけでなく「人件費」への影響も確認
最低賃金の引き上げは、一部の従業員の時給を上げれば終わり、とは限りません。
たとえば、最低賃金に近い水準で働いている従業員の賃金を引き上げると、それに合わせて他の従業員との給与バランスを見直す必要が出てくるケースがあります。
また、社会保険料などを含めると、会社が負担する人件費への影響は給与の増加額だけではありません。
最低賃金改定を「給与計算の問題」とだけ捉えず、今後の人件費や利益への影響まで確認しておくことが、中小企業の経営では重要です。
9. 業務改善助成金などの支援策も確認
最低賃金の引き上げに伴って設備投資などを行う場合、業務改善助成金などの支援策を利用できる可能性があります。
2026年度の業務改善助成金は、2026年9月1日から申請受付が予定されています。
申請期限は、原則として「その事業場に適用される地域別最低賃金の発効日の前日」または「2026年11月30日」のいずれか早い日です。
助成金は要件や申請期限がありますので、「使えるかもしれない」と思った段階で早めに確認しておきましょう。
10. 最低賃金改定は「発効日前の給与チェック」がポイント
2026年度の最低賃金改定に向けて、中小企業がまず確認したいのは次の3点です。
① 自社の都道府県の改定額
② 改定後の最低賃金が適用される発効日
③ 自社従業員の給与が改定後の最低賃金を上回っているか
特に注意したいのが、月給制の従業員と各種手当です。
最低賃金の計算では、単純に給与明細の総支給額を見るだけでは不十分です。
最低賃金の改定は、毎年のことだからこそ、直前になって慌てるのではなく、発効日前に給与体系を一度チェックしておくことをおすすめします。
最低賃金の引き上げは、会社にとってコスト増という側面があります。
しかし同時に、自社の給与体系や人件費を見直すきっかけでもあります。
「最低賃金をクリアしているか」だけで終わらせず、今後の採用、人材定着、利益計画まで含めて考えると、経営判断にもつながってきます。
給与計算や人件費について「この手当は最低賃金の計算に入るのか」「月給をどう時間額に換算すればいいのか」と迷う場合は、早めに専門家へ確認しておくと安心です。
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