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税理士事務所

複数の社員旅行プランを用意しても大丈夫?給与課税の判断ポイントをわかりやすく解説

社員旅行といえば、「全員で同じ場所へ行く」というイメージが強いかもしれません。

しかし最近は、従業員のライフスタイルや価値観の多様化を考慮して、複数の旅行プランを用意し、本人が希望するプランを選べるようにする会社も増えています。

そこで気になるのが、「旅行プランを複数用意すると、会社が負担した費用は従業員の給与として課税されるのか?」という問題です。

結論からいうと、複数プランを設定しただけで、直ちに給与課税されるわけではありません。

重要なのは、社員旅行全体が会社のレクリエーションとして行われているか、そして従業員に公平に参加する機会が与えられているか、という点です。

1. 社員旅行の費用が給与課税されない基本条件

会社が従業員の親睦や慰安を目的として社員旅行を実施し、その費用を負担した場合、一定の条件を満たせば、その経済的利益を給与として課税しなくてよいとされています。

代表的な判断基準が、次の2つです。

  • 旅行期間が4泊5日以内であること

  • 従業員等の参加割合が50%以上であること

ここで注意したいのが、「50%以上」という参加割合の考え方です。

単純に「一つの旅行プランに半分以上参加しているか」だけを見るとは限りません。

2. 複数の社員旅行プランでも非課税になる可能性がある

例えば、

「若い社員はアクティブな旅行がいい」
「小さな子どもがいる社員は日帰りのほうが参加しやすい」

といった事情を考慮して、会社が複数のプランを設定するケースがあります。

この場合でも、会社全体として一つのレクリエーション旅行を企画しており、従業員に等しく参加する機会が与えられているのであれば、複数プランであることだけを理由に給与課税されるわけではありません。

むしろ中小企業にとっては、従業員が参加しやすい選択肢を用意することで、福利厚生をより活用してもらえるというメリットもあります。

3. 参加割合は「プランごと」に計算するとは限らない

ここが今回のテーマで特に重要なポイントです。

複数の旅行プランがあったとしても、それらを合わせて一つのレクリエーション旅行と判断できる場合には、参加割合を旅行全体で判定できるとされています。

例えば、従業員100人の会社で、

Aプラン:金沢への1泊2日旅行 → 40人参加
Bプラン:鎌倉への日帰り旅行 → 30人参加

だったとします。

Aプランだけを見ると参加割合は40%です。

Bプランも30%です。

どちらも50%を下回っています。

しかし、会社がこの2つを社員旅行として企画し、従業員がどちらかを選択できる形にしていたのであれば、全体では70人が参加しています。

つまり、**旅行全体の参加割合は70%**として判断できる可能性があります。

「各プランで50%以上」という考え方ではない点は、中小企業が複数プランを企画する際に知っておきたいところです。

4. 「自由旅行」と「複数プラン」は同じではない

一方で、何でも会社負担にすれば社員旅行として非課税になるわけではありません。

例えば、

「会社から10万円を支給するので、好きな場所へ好きな日程で旅行してください」

という仕組みであれば、会社が企画するレクリエーション旅行とは性質が大きく異なります。

今回のような複数プランは、会社があらかじめ旅行先や日程などを企画し、その中から従業員が選択するというものです。

つまり、

「会社が企画した複数の選択肢」なのか、「従業員が自由に旅行を選ぶ制度」なのか

という違いは、税務上の判断でも重要になります。

5. 旅行期間や内容にも注意が必要

参加割合だけ確認すればよいわけではありません。

基本的な判断基準として、旅行期間は4泊5日以内であることが示されています。

また、旅行の内容や会社が負担する金額についても、社会通念上、一般的なレクリエーション旅行といえる範囲に収まっていることが重要です。

例えば、会社が一部の役員や従業員だけに非常に高額な旅行を提供するような場合には、通常の社員旅行とは別の検討が必要になる可能性があります。

6. 参加割合が50%未満でも、必ず課税されるわけではない

もう一つ、経営者の方に知っておいていただきたいポイントがあります。

仮に参加割合が50%未満になったとしても、それだけで必ず給与課税されるわけではありません。

従業員に参加資格が与えられていることや、旅行の目的、会社が負担する金額などを総合的に考えて、一般的なレクリエーション旅行と認められる場合には、給与課税しなくてよいケースがあります。

つまり、50%という数字だけを機械的に当てはめるのではなく、社員旅行としての実態を見ることが大切です。

7. 中小企業が複数プランを導入するときの実務ポイント

実際に複数の社員旅行プランを企画する場合は、次の点を整理しておくとよいでしょう。

① 旅行の目的を明確にする

「従業員の親睦・慰安を目的とした社員旅行」であることを明確にします。

② 全従業員に参加機会を与える

特定の社員だけが参加できる制度にならないよう注意します。

③ プランごとの内容と費用を整理する

旅行先や日程が違っても、会社が企画する社員旅行として合理的な内容になっているか確認します。

④ 参加人数を記録する

プランごとの参加者だけでなく、社員旅行全体の参加者数も把握しておきましょう。

⑤ 会社の企画であることを残す

案内文や社内資料などに、社員旅行の目的、対象者、各プランの内容などを記録しておくと、後から説明しやすくなります。

8. 福利厚生は「参加しやすさ」も大切

社員旅行について、「全員が同じ場所へ行かなければ公平ではない」と考える必要はありません。

従業員の事情が多様になっている現在では、複数の選択肢を用意することが、むしろ参加しやすさにつながることがあります。

大切なのは、会社が特定の人だけを優遇するのではなく、従業員に等しく参加の機会を提供していることです。

税務上のルールだけでなく、福利厚生制度として従業員が利用しやすいかという視点も持っておくとよいでしょう。

9. 「複数プランだから課税」と考えない

今回のポイントを一言でまとめると、

「複数プラン=給与課税」ではない

ということです。

会社が一つのレクリエーション旅行として企画し、従業員に公平に参加する機会を与えているのであれば、複数の旅行先や日程を設定しても、直ちに給与課税の対象となるわけではありません。

一方で、自由旅行への金銭補助に近い制度になっていたり、特定の従業員だけを対象としていたりする場合には、別途慎重な判断が必要です。

10. 社員旅行を「福利厚生」として活用するために

社員旅行は、単なる会社行事ではありません。

従業員同士のコミュニケーションを深めたり、普段なかなか話す機会のない社員同士が交流したりするきっかけにもなります。

だからこそ、税務上のルールを守りながら、従業員が「参加してみよう」と思える制度にすることが重要です。

特に中小企業では、社員一人ひとりの事情に合わせて複数のプランを用意することで、これまで参加していなかった従業員も参加しやすくなるかもしれません。

社員旅行を企画する際は、「税金がかからないか」だけを見るのではなく、会社としてどのような目的で、誰に、どのような条件で福利厚生を提供しているのかを整理してみてください。

制度設計の段階で税務上の論点を確認しておけば、後から「この費用は給与課税では?」と慌てるリスクも減らせます。

社員旅行や福利厚生制度を検討する際には、税務だけでなく、会社の実態に合った運用になっているかという視点から確認することをおすすめします。


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