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税理士事務所

2025年の下請法改正で“取適法”へ――中小企業経営者が押さえるべき5つのポイント

2025年、長らく中小企業の取引環境を支えてきた「下請法」が大きく変わり、新たに「取適法」へと衣替えします。名称変更にとどまらず、構造的な価格転嫁の実現に向けた本質的な見直しが行われました。今回は、中小企業経営者の方々が知っておくべき主な改正点を、専門家視点でわかりやすく解説します。
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## 改正の背景:賃上げのための“価格転嫁”が本丸
政府は近年、物価上昇を超える持続的な賃上げを目指しています。そのためには、元請・下請の力関係を見直し、下請企業が正当な対価を得て、賃上げの原資を確保できる環境が不可欠です。そこで、従来の「下請法」を大幅に改正し、より実効性のある「取適法(とりてきほう)」として再出発することになりました。
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## 押さえるべき主な改正ポイント5つ
### ① 協議なき価格決定の禁止
中小受託事業者(旧:下請事業者)が価格交渉を求めたにも関わらず、大企業が一方的に価格を決定し、協議に応じない――このような実態が各地で指摘されてきました。今後は、こうした協議拒否が法的に禁止されます。
▶ 経営者への示唆:価格交渉は“対等な契約行為”であるという意識改革を。
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### ② 手形払いの禁止
手形による支払いは、資金繰りを圧迫する原因の一つでした。これを受け、発注者による手形払いが全面的に禁止されます。
▶ 経営者への示唆:キャッシュフロー管理の見直しと、現金主義への転換が求められます。
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### ③ 運送委託も対象に
これまで対象外だった運送事業者との取引が、新たに法の適用対象に加えられます。これにより、荷待ち時間の無償対応など不適切な取引慣行も是正が進みます。
▶ 経営者への示唆:物流業者への配慮が、持続可能なサプライチェーンを支える。
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### ④ 資本金だけでなく「従業員数」基準を追加
これまで資本金のみが対象基準でしたが、今後は「従業員数」も加わります。これにより、実態として中小企業であるのに法の網から漏れていた企業も保護対象に。
▶ 経営者への示唆:自社が新たに取適法の対象になっていないか確認を。
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### ⑤ 用語・名称の見直し
「下請」という語感の改善を目的に、用語全般が見直されました。たとえば、「親事業者」は「委託事業者」に、「下請事業者」は「中小受託事業者」に変更されます。法律名も「取適法」に刷新されました。
▶ 経営者への示唆:契約書や社内文書の表記更新にも注意が必要です。
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## まとめ:法改正は“対等な取引文化”への第一歩
今回の改正は、単なる法令名の変更ではなく、「価格転嫁を正当に行える社会構造」への転換を狙ったものです。中小企業経営者にとって、単に「守られる側」ではなく、「交渉力を持ち、対等な立場で価値を提供する存在」へと変わるきっかけと捉えることが重要です。
現場では、契約書の見直し、価格協議のプロセス整備、キャッシュフロー管理の強化など、実務面での対応が急務です。この機会に、自社の取引の在り方を見直し、持続可能なビジネスモデルへの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


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