クレメンティア
税理士事務所
価格は「お願い」ではなく「交渉」へ
― 2026年施行「取適法」で変わる、中小企業の経営と税理士の役割 ―
2026年1月に施行された「取適法(中小受託取引適正化法)」は、単なる法改正ではありません。
中小企業の経営において最も重要なテーマの一つである「価格」を、
“遠慮して据え置くもの”から“根拠をもって交渉するもの”へと変える、大きな転換点です。
そして、この変化の中で、税理士の役割も確実に広がっています。
単に数字をまとめる人ではなく、
「価格交渉を支える専門家」へ。
今日はその視点から整理してみたいと思います。
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■ 取適法で何が変わったのか
― 「交渉しないこと」がリスクになる時代へ ―
今回の取適法は、従来の下請法やフリーランス新法を包括した“上位法”として位置づけられています。
特に重要なのは、次の点です。
・発注側が価格交渉に応じないこと自体が問題となる
・原材料費や人件費の上昇を理由とした値上げ要請が制度的に認められやすくなる
・受領拒否、支払遅延、減額、買いたたきなどの禁止行為がさらに強化
・違反時には「指導 → 勧告 → 公表」という社会的リスクが高まる
つまり、
「言いにくいから言わない」
ではなく
「言わないと、相手がリスクを負う」
という構造に変わりつつあります。
これは中小企業にとって、大きな追い風です。
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■ それでも現場では「言えない」
― 法律と経営判断の間にある現実 ―
しかし、現実の経営は法律だけでは動きません。
・契約書を求めたら関係が悪くなるのではないか
・値上げを言ったら次の発注が止まるのではないか
・支払条件を交渉したら他社に切り替えられるのではないか
この感覚は、とても現実的です。
私も日々、経営者の方々から同じ言葉を聞きます。
だからこそ重要なのは、
「感情」ではなく
「数字」で交渉すること
です。
ここに、税理士の役割があります。
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■ 税理士は「価格交渉の裏方」になれる
価格交渉は、実は会話の問題ではありません。
構造の問題です。
例えば、
・原価がいくらか
・人件費がどれだけ上がっているか
・利益率がどこまで下がっているか
・値上げしないと何ヶ月後に資金が不足するか
これらが明確になっていれば、
交渉は「お願い」ではなく
「説明」になります。
税理士ができる具体的な支援は、次のようなものです。
① 原価・利益構造の見える化
② 値上げの根拠資料の作成
③ 将来の資金繰りシミュレーション
④ 価格改定のタイミング設計
⑤ 交渉記録・証跡の整備支援
ここまでできて初めて、
「戦える交渉」
になります。
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■ これからの経営は「証拠」が会社を守る
今回の法律で、もう一つ重要なポイントがあります。
それは
証跡(しょうせき)
です。
具体的には、
・契約書
・発注書
・見積書
・メール
・議事録
・価格協議の記録
これらを残しておくことが、
単なる事務作業ではなく
会社を守る「経営行為」
になります。
そして実務的には、
ここが一番後回しになりやすい部分でもあります。
しかし将来、
・価格交渉
・未払い問題
・トラブル対応
・行政調査
これらが起きたとき、
会社を守るのは
記憶ではなく 記録です。
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■ 2026年は「価格を見直す年」になる
私は今回の取適法を、
「価格交渉を合法化した法律」
だと捉えています。
そして同時に、
経営者にとっての問いはシンプルです。
あなたの会社の価格は、
根拠をもって説明できますか。
もし、
・何年も価格を変えていない
・利益が減っているのに我慢している
・忙しいのにお金が残らない
この状態であれば、
それは努力不足ではなく
価格設計の問題
かもしれません。
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■ 最後に
― 税理士は「守り」だけの存在ではない ―
これからの税理士の役割は、
税金を計算する人
ではなく
経営の意思決定を支える人
だと私は考えています。
特に価格は、
売上
利益
資金繰り
人材
成長
すべてにつながる「経営の中心」です。
だからこそ私は、
顧問先の価格交渉を
数字で支える税理士
でありたいと思っています。
そして経営者の皆さまにも、ぜひ考えていただきたいのです。
価格は、お願いするものではありません。
設計するものです。
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