クレメンティア
税理士事務所
令和8年度税制改正大綱で「償却資産の免税点」引き上げへ
― 中小企業経営者が押さえるべき実務と戦略 ―
令和8年度税制改正大綱において、固定資産税(償却資産)の免税点が現行150万円から180万円へ引き上げられる方針が示されました。適用は令和9年度分以後。金額としては30万円の引き上げですが、中小企業経営にとっては「設備投資戦略」や「資産管理体制」に影響を及ぼす可能性があります。本記事では、経営者視点で押さえるべきポイントを整理します。
---
## 1.そもそも償却資産とは?
償却資産とは、土地・家屋以外で事業の用に供することができる資産のうち、税務上減価償却の対象となるものをいいます。
例えば、
・機械装置
・工具・器具・備品
・店舗の内装設備
・看板や広告設備
などが該当します。
これらは毎年1月1日時点の保有状況を市町村へ申告する必要があり、課税標準額が一定額以上であれば固定資産税が課されます。
---
## 2.今回の改正内容(令和8年度税制改正大綱)
今回の大綱では、免税点が以下のように見直されます。
● 家屋:20万円 → 30万円
● 償却資産:150万円 → 180万円
つまり、同一市町村内における償却資産の課税標準額が180万円未満であれば、固定資産税は課されません。
なお、適用は令和9年度分以後です。
---
## 3.経営者が注目すべき3つの視点
### ① 小規模事業者への実質的な負担軽減
創業間もない企業や小規模事業者にとっては、免税ラインが30万円引き上がることにより、固定資産税が非課税となるケースが増える可能性があります。
資金繰りの安定という意味では、一定の支援策といえるでしょう。
---
### ② 「投資判断」への影響は限定的
ただし、今回の改正はあくまで免税点の引き上げです。
設備投資の意思決定を左右するほどの大きなインパクトは通常ありません。
固定資産税は取得価額の約1.4%が基本税率ですから、30万円分の差は年間約4,200円程度。
本質的には、
・収益性
・投資回収期間
・キャッシュフローへの影響
で判断すべきです。
税額の軽減は“副次的効果”と捉えるのが経営的には健全です。
---
### ③ 資産管理体制の見直し機会
今回の改正は、「自社の償却資産台帳は正確か?」を見直す好機でもあります。
特に中小企業では、
・除却処理が漏れている
・廃棄済み資産が課税対象に残っている
・リース資産の判定が曖昧
といったケースが少なくありません。
固定資産税は“自己申告”です。
だからこそ、定期的な棚卸と整合性チェックが重要です。
---
## 4.経営戦略としてどう活かすか
今回の改正は「節税策」というよりも、
・創業期企業の下支え
・事務負担の軽減
・小規模設備投資の後押し
という政策的メッセージが強いと考えます。
経営者としては、
✔ 設備投資計画と資金計画の再確認
✔ 固定資産管理体制の整備
✔ 税務リスクの事前把握
この3点を実行に移すタイミングです。
---
【まとめ】
免税点は150万円から180万円へ。
金額以上に重要なのは、「自社の資産と税務をどうコントロールするか」です。
制度変更は、経営を見直すきっかけ。
税制改正を単なる“情報”で終わらせず、
自社の財務戦略にどう活かすか。
そこまで踏み込んでこそ、経営判断の質が上がります。
税制は常に変わります。
しかし、原理原則は変わりません。
数字を味方にし、未来を設計する。
その伴走者であり続けたいと思います。
Instagram
インスタグラム
Related
関連記事
-
2023.07.29法人様をサポート | 大阪市の税理士ならクレメンティア税理士事務所
-
2025.11.06大阪市内で増加中?宗教法人のカフェ・飲食業への進出と税務対策
-
2025.11.28大阪市宗教法人の収益事業における「役員報酬」の適正化とは
-
2025.11.21法人が適切に使える節税スキームとは?大阪市での導入事例あり
-
2025.11.20宗教法人×不動産活用|大阪市で進む資産運用と税務の最適解
-
2025.11.18宗教法人が土地の寄附を受けるときに注意すべき「措法40条」──知らないと“寄附者”に課税リスク
-
2025.11.17宗教法人が運営する「1泊1,000円の宿泊施設」は課税対象?──“低廉な宿泊施設”の判断ポイントをわかりやすく整理
-
2025.11.17「確定申告」と法人の申告義務の違いを理解する
-
2025.11.15大阪市の法人が抱える「売上減少」の税務リスクと経営対策
-
2025.09.202025年税制改正、大阪市の税理士が解説する宗教法人への影響とは
-
2025.09.18大阪市の法人が「役員報酬の決定ミス」で損金不算入となった理由
-
2025.10.21宗教法人の“今”と“これから”──収益減・解散・継承の現場から考える税務と経営の勘所
-
2025.09.14宗教法人の収益事業、税務署の視点は?大阪市の実例から読み解く
-
2025.09.3010. 宗教法人の印紙税・電子納税(e-Tax)と令和の税務効率化
-
2025.10.01宗教法人の「収益」と「非収益」の境界線|大阪市の事例から学ぶ判断基準
-
2025.10.01宗教法人にもオンライン税務調査の波──住職・代表役員が知っておくべき“DX時代の備え”
-
2025.10.02決算前にやるべきこととは?大阪市法人の税務と経営の連携ポイント
-
2025.10.07大阪市で税務と経営両面から法人を支える顧問税理士の選び方
-
2025.11.10法人の設備投資を行う際に税理士へ相談すべきポイント
-
2025.11.14宗教法人の収益事業と法人税|大阪市の税理士が伝える「節税の限界」
-
2025.09.16税理士に経営相談もできる?大阪市の法人向けワンストップ支援とは
-
2025.09.11大阪市の法人が税理士に「税務+経営相談」を一括で依頼するメリット
-
2025.12.22宗教法人の経理担当者必見!大阪市の税理士が語る記帳のプロセス改革
-
2025.10.28税理士が支援する大阪市の法人向け「利益計画」とは?
-
2025.10.12税理士が見る大阪市宗教法人のガバナンス改革と収益事業の関係性