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税理士事務所

振込手数料はどちらが負担?中小企業経営者が知っておくべき法律の基本と実務対応

取引先から「今後は振込手数料を御社で負担してください」という通知が届いた──。
こんなとき、受け入れるべきか?交渉できるのか?
今回は、民法の原則に基づきながら、中小企業経営者が判断すべきポイントを、実務視点でわかりやすく解説します。
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## 1. 法律では「買主負担」が原則
取引先の通知文にもあるように、**民法第484条・485条**では、代金の支払い債務は「債権者(売主)の住所地で支払うのが原則(持参債務)」とされています。
つまり、買主が現地へ持参しない=銀行振込で支払うのであれば、その**振込にかかる手数料は買主(支払う側)の負担**となるのが法律の考え方です。
これは、明確な合意がない場合の「原則」であり、法律違反ではありません。
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## 2. 実務でも「買主負担」が一般的
私自身、複数の業種・地域の取引実務を見てきましたが、**振込手数料は買主が負担する**ケースが圧倒的に多いのが現実です。
請求書にも「振込手数料は貴社ご負担でお願いします」と記載されていることが多く、慣行としても定着している印象があります。
ですから、今回のような通知が届いたとしても、**特段に理不尽な要求ではない**ということは理解しておいた方が良いでしょう。
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## 3. それでも納得できない場合はどうする?
もちろん、取引先との関係性や取引金額によっては、「振込手数料は御社で負担してほしい」と考えるケースもあるでしょう。
その場合は、**事前に合意を交わすことが重要**です。
- 契約書に「振込手数料は売主負担」と明記する
- 見積書や注文書のやり取りで条件を確認し合う
- 長期的な取引関係であれば、信頼関係に基づき交渉する
法律ではなく、「契約と信頼」がカギになります。
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## 4. 細かなコストほど“仕組み”で差が出る
たとえば月50件の仕入先があり、1件ごとに220円の振込手数料を負担すると、月11,000円、年間132,000円のコストです。
「わずかな金額」と軽視せず、振込手数料も含めた**全体のコスト設計**を見直していくことが、中小企業の利益改善には欠かせません。
また、振込一括サービスの活用や、支払条件の統一によって、**支払い業務の効率化・手数料の削減**も可能です。
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【まとめ】
- 法律上は「買主負担」が原則(民法484・485条)
- 実務でも「振込手数料は買主負担」が一般的
- それでも条件を変えたいなら、契約で合意を
- 小さなコストにも戦略的な目を向けよう
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現場で迷うこうした「細かいけれど重要な問題」こそ、経営の腕の見せどころです。
税務・財務・契約実務に関する相談は、ぜひ専門家を活用してください。

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