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税理士事務所

【令和7年分給与統計】平均給与487万円に!中小企業が知っておきたい「賃上げ」と人件費の考え方

「最近、社員から給与アップを求められることが増えた」
「採用のためには、もっと給与を上げたほうがいいのだろうか」
「でも、人件費を増やして会社の利益や資金繰りは大丈夫だろうか」

中小企業の経営者にとって、「給与をいくらにするか」は非常に悩ましい問題です。

そんな中、国税庁から令和7年分の「民間給与実態統計調査」が公表されました。

今回の調査では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与が487万円となり、5年連続で増加。前年に続いて過去最高を更新しました。

今回は、この数字を単なる「平均年収のニュース」として見るのではなく、中小企業の経営者が「賃上げ」と「人件費」を考える際のヒントとして見ていきます。


【1.平均給与は487万円、過去最高を更新】

令和7年分の調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者は5,163万人。

その一人当たりの平均給与は487万円でした。

前年の478万円から9万円増加し、5年連続で増加しています。

男女別では、

・男性:597万円
・女性:342万円

となっています。

「平均給与が487万円」という数字だけを見ると、自社の社員の給与と比較したくなるかもしれません。

しかし、ここで注意したいのは、この数字はあくまで「全体の平均」だということです。

企業規模、業種、年齢、役職、勤続年数などによって給与水準は大きく異なります。

そのため、「平均487万円だから、うちも487万円にしなければならない」と考える必要はありません。


【2.給料・手当は412万円、賞与は75万円】

平均給与487万円の内訳を見ると、平均給料・手当は412万円、平均賞与は75万円でした。

前年と比べると、給料・手当は403万円から412万円へ増加。

一方、賞与は75万円で、前年から0.3万円の増加となっています。

ここから考えたいのが、「給与」と「賞与」をどう組み合わせるかという問題です。

毎月の給与を上げると、その後も継続的に人件費が発生します。

一方、賞与は業績などに応じて支給額を調整しやすいという面があります。

もちろん、賞与だけに頼ればよいという話ではありません。

社員の生活や採用市場を考えれば、毎月の給与水準も重要です。

大切なのは、自社の利益やキャッシュの状況を踏まえて、無理なく続けられる給与設計を考えることです。


【3.正社員の平均給与は559万円】

正社員の平均給与は559万円。

一方、正社員以外は210万円でした。

また、1年を通じて勤務した給与所得者のうち、正社員は3,422万人で前年比0.2%減少したのに対し、正社員以外は1,305万人で前年比3.9%増加しています。

人手不足への対応として、パート・アルバイトなど多様な働き方を活用する企業も多いと思います。

ただし、「人件費が安いから」という理由だけで雇用形態を決めるのはおすすめできません。

仕事内容、責任、勤務時間、採用のしやすさ、定着率などを含めて、自社にとってどのような人材構成が適切なのかを考える必要があります。


【4.企業規模によって給与水準には大きな差がある】

今回の調査では、企業規模によって平均給与に大きな差があることも分かります。

株式会社について、資本金10億円以上の企業の平均給与は691.7万円。

一方、資本金2,000万円未満では415.7万円となっています。

この数字を見ると、「大企業と比べて中小企業は給与が低い」と感じるかもしれません。

しかし、だからといって中小企業が大企業と同じ給与水準を目指せばよいわけではありません。

企業規模が違えば、売上規模、利益、事業構造、福利厚生、採用競争力なども違います。

経営者が見るべきなのは、「大企業と同じ給与」ではなく、

「自社の事業規模・利益・仕事内容に対して、社員にどの程度の給与を還元できるか」

という視点ではないでしょうか。


【5.小規模企業こそ、自社の数字を確認する】

事業所規模別の平均給与を見ると、1~4人の事業所では平均給与が380.4万円。

5~9人では413.5万円。

10~29人では453.6万円となっています。

従業員数が増えるにつれて平均給与も高くなる傾向が見られます。

ただし、これも「人数が少ない会社は、この金額でよい」という意味ではありません。

会社ごとに、

・売上高
・粗利益
・営業利益
・従業員数
・一人当たりの生産性
・人件費

などは異なります。

だからこそ、他社の平均給与だけを見るのではなく、自社の経営数字と照らし合わせることが重要です。


【6.「平均487万円」だけを見て賃上げを決めない】

今回のニュースで最も注意していただきたいのがここです。

「平均給与が487万円になった」
↓
「うちも給与を上げなければ」
↓
「とりあえず一律で5%アップ」

という判断は、少し危険です。

給与は、一度上げると簡単には下げられません。

例えば、従業員10人の会社で一人当たり月3万円の給与を上げれば、単純計算で年間360万円の人件費増になります。

社会保険料など会社負担分まで考えれば、実際の負担はさらに大きくなります。

だからこそ、賃上げを検討するときには、

「給与を上げた結果、会社にいくらの負担が発生するのか」

「その負担を吸収できるだけの利益を生み出せるのか」

を事前に確認することが重要です。


【7.賃上げは「コスト」ではなく「投資」という考え方も】

一方で、賃上げを単純に「会社のコストが増える」とだけ考えるのも適切ではありません。

給与水準は、人材の採用や定着にも関係します。

せっかく採用した社員が短期間で退職してしまえば、採用活動や教育にかかった時間・費用も無駄になってしまいます。

適切な賃上げによって社員の定着率が上がり、採用競争力が高まるのであれば、それは会社にとって「人材への投資」と考えることもできます。

ただし、投資である以上、重要なのは「いくら使うか」だけではありません。

「その投資によって、会社がどのように良くなるのか」

まで考えることが大切です。


【8.税理士としておすすめしたい「3つの確認」】

賃上げを検討している経営者の方には、まず次の3つを確認していただきたいと思います。

① 自社の利益と人件費のバランス

売上が増えていても、利益が増えていなければ、大幅な固定費増加は慎重に考える必要があります。

② 同規模・同業種との比較

全国平均だけではなく、自社と近い規模・業種の給与水準を確認します。

③ 賃上げ後の利益とキャッシュ

「給与を上げても会社にお金が残るのか」を、実際の数字でシミュレーションします。

特に3つ目は非常に重要です。

決算書上は利益が出ていても、実際の資金繰りが厳しくなるケースがあります。

「払える給与」ではなく、「払い続けられる給与」を考えることがポイントです。


【9.給与を上げるためには、まず「稼ぐ力」を考える】

では、どうすれば無理なく給与を上げられるのでしょうか。

私は「給与を上げる方法」だけを考えるのではなく、「給与を上げられる会社になる方法」を考えることが重要だと思います。

例えば、

・商品の価格を適正化する
・利益率の高い商品・サービスに注力する
・業務を効率化する
・一人当たりの生産性を高める
・不要な経費を見直す

などです。

「給与を上げる=会社の利益が減る」という構造から、

「会社の利益を増やす→その一部を社員に還元する」

という構造に変えていく。

これが、継続的な賃上げを実現するための一つの考え方です。


【10.まとめ|平均給与487万円という数字を経営にどう活かすか】

令和7年分の民間給与実態統計調査では、平均給与が487万円となり、過去最高を更新しました。

これは、企業にとって「人件費が上昇している」というだけではなく、人材を確保し、社員に選ばれる会社になるためには、給与についてこれまで以上に真剣に考える必要があることを示しているとも言えます。

ただし、「平均487万円」という数字だけを見て、自社の給与を決める必要はありません。

大切なのは、

「自社の社員にどれだけ還元できるのか」

「その給与を会社として継続して支払えるのか」

「給与を上げることで、採用や定着、生産性にどのような効果が期待できるのか」

を総合的に考えることです。

賃上げは、単なる人件費の問題ではありません。

会社の利益、キャッシュ、採用、人材定着、そして今後の経営戦略を一緒に考えるテーマです。

「そろそろ給与を見直したいけれど、どこまで上げて大丈夫なのか分からない」

そんなときは、まず現在の利益と人件費のバランスを数字で確認してみてください。

感覚だけで決めるのではなく、数字を見ながら「無理なく続けられる賃上げ」を考えることが、これからの中小企業経営ではますます重要になっていくでしょう。

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