クレメンティア
税理士事務所
定年退職者を採用する際に見落としがちな「無期転換ルール」の注意点
~人手不足時代だからこそ、採用前に確認しておきたい労務リスク~
人手不足の今、「経験者採用」は大きな戦力
慢性的な人手不足が続く中、定年退職後のベテラン人材を採用する企業が増えています。
豊富な経験や専門知識、人脈を持つ人材は、若手社員の育成や業務の安定化にも大きく貢献してくれる存在です。
一方で、「定年退職者だから契約社員で問題ない」と考えてしまうと、思わぬ労務トラブルにつながることがあります。
特に注意したいのが、「無期転換ルール」です。
今回は、中小企業の経営者が知っておきたいポイントを整理します。
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## 無期転換ルールとは?
有期労働契約(契約社員など)が更新を繰り返し、同じ会社で通算5年を超えた場合、本人から申し込みがあれば、次回の契約から無期労働契約へ転換できる制度です。
例えば1年契約であれば、5回目の契約更新後に無期転換申込権が発生します。
「契約社員だからずっと有期契約のまま」というわけではありません。
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## 「定年退職者なら例外」とは限らない
ここで多くの企業が勘違いしやすいポイントがあります。
### 自社で定年を迎えた社員の場合
自社で定年退職し、その後継続雇用するケースでは、一定の要件を満たし、労働局の認定を受けていれば、無期転換申込権が発生しない特例があります。
### 他社で定年を迎えた人を採用した場合
一方で、他社を定年退職した人を採用した場合は、この特例の対象にはなりません。
つまり、
「定年退職者だから大丈夫」
ではなく、
「自社で定年を迎えた人なのか、それとも他社を退職した人なのか」
によって取扱いが変わるのです。
ここを誤って理解すると、後々の労務管理に大きな影響を与える可能性があります。
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## 労働条件通知書も重要なポイント
2024年4月以降、労働条件通知書には無期転換に関する事項の明示が必要となっています。
具体的には、
・無期転換申込権が発生する場合は、その旨を記載すること
・無期転換後の労働条件が変わる場合は、その内容を明示すること
・特例の対象者であれば、無期転換申込権が発生しないことを記載すること
が求められます。
採用時や契約更新時の書類を以前のまま使用している企業は、一度見直しておくことをおすすめします。
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## 経営者として押さえておきたい視点
労務管理は「制度を守るため」のものと思われがちですが、本来は会社と従業員がお互いに安心して働くためのルールです。
経験豊富なシニア人材は、中小企業にとって非常に貴重な戦力です。
だからこそ、
「契約だから大丈夫」
という思い込みではなく、
「法律上どのような扱いになるのか」
を正しく理解し、適切な契約書や労働条件通知書を整備することが重要です。
制度を理解しておけば、安心して優秀な人材を採用し、長く活躍してもらえる環境づくりにつながります。
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## まとめ
定年退職者を採用する際は、次の3点を確認しましょう。
・他社の定年退職者には無期転換の特例は適用されない
・有期契約が通算5年を超えると無期転換申込権が発生する可能性がある
・労働条件通知書には無期転換に関する事項の記載が必要
人材確保が経営課題となる今だからこそ、採用だけでなく、採用後の労務管理まで含めて整備しておくことが、企業のリスク管理につながります。
「知らなかった」では済まされない制度だからこそ、この機会に自社の契約内容や労働条件通知書を一度確認してみてはいかがでしょうか。
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