クレメンティア
税理士事務所
補助金をもらったら税制優遇が受けられない?~中小企業投資促進税制で見落としやすいポイント~
「補助金があるから安心」と思っていませんか?
DXやAIの活用が経営課題となる中、多くの中小企業が補助金を活用してソフトウェアや設備を導入しています。
補助金を受けられれば投資負担を大きく軽減できますが、一方で見落とされがちなのが「税制優遇との関係」です。
実は、補助金を受けて取得した設備は、中小企業投資促進税制の適用判定において、取得価額がそのまま使われるとは限りません。
今回は、この制度のポイントを分かりやすく解説します。
---
## こんなケースで考えてみましょう
例えば、
* 業務用ソフトウェア 300万円
* 国の補助金 200万円
というケースを考えます。
「300万円のソフトウェアだから、投資促進税制の対象になる」と思われるかもしれません。
しかし、実際にはそう単純ではありません。
---
## 判定に使う取得価額は100万円
国庫補助金等について「総収入金額不算入」の適用を受ける場合、税法では補助金相当額を差し引いた金額を取得価額とみなします。
今回の例では、
300万円-200万円=100万円
この100万円が、中小企業投資促進税制の適用要件を満たしているかどうかを判断する際の取得価額になります。
ソフトウェアは取得価額70万円以上が要件となるため、このケースでは100万円となり、取得価額要件は満たします。
一方で、仮に補助金が250万円だった場合は取得価額が50万円となるため、要件を満たさず、税制の適用を受けられない可能性があります。
---
## 補助金が多いほど有利とは限らない
補助金は資金繰りを改善する大きなメリットがあります。
しかし、その一方で、
* 特別償却
* 税額控除
* その他の設備投資に関する税制優遇
の適用可否や控除額に影響を及ぼすケースがあります。
つまり、
**「補助金を受ける」ことと「税制優遇を最大限活用する」ことは、必ずしも一致しない**のです。
制度ごとのメリットを個別に考えるのではなく、会社全体の資金計画や税負担まで含めて判断することが重要になります。
---
## 経営者が意識したい「トータルで得をする」視点
設備投資では、
* 補助金はいくら受けられるのか
* 税額控除はいくら受けられるのか
* 特別償却による節税効果はどれくらいか
* キャッシュフローはどう変わるか
これらを総合的に比較することが欠かせません。
目先の補助金額だけに注目すると、結果として受けられる税制優遇が小さくなり、想定より手元資金が残らないというケースもあります。
設備投資は「補助金を獲得すること」が目的ではなく、「会社の利益と成長につながる投資を行うこと」が本来の目的です。
---
## 税理士としてお伝えしたいこと
近年は、DX投資やAI導入に関する補助金制度が充実しています。
その一方で、補助金、減価償却、税額控除、各種特例など、複数の制度が複雑に絡み合うケースが増えています。
制度ごとに判断するのではなく、
* 補助金
* 税制優遇
* 資金繰り
* 将来の利益計画
を一体で考えることが、中小企業経営ではますます重要になっています。
設備投資は金額が大きいからこそ、「申請する前」のシミュレーションが会社の利益を大きく左右します。
---
## まとめ
補助金を活用して設備投資を行う場合は、補助金額を差し引いた取得価額で中小企業投資促進税制の適用判定を行うケースがあります。
そのため、「補助金があるから安心」と考えるのではなく、税制優遇への影響まで含めて検討することが大切です。
設備投資は、経営戦略と税務戦略の両方を考えて進めることで、その効果を最大限に引き出すことができます。
導入を決める前に一度シミュレーションを行い、自社にとって最もメリットの大きい選択肢を確認することをおすすめします。
Instagram
インスタグラム
Related
関連記事
-
2023.07.29法人様をサポート | 大阪市の税理士ならクレメンティア税理士事務所
-
2025.11.07法人税の申告所得・税額が過去最高に:黒字化が進む企業、問われる次の一手
-
2025.11.30宗教法人の駐車場と印紙税──住職の皆さまが誤解しやすいポイントを専門家が整理します
-
2025.11.30税務調査に強い法人経営とは?大阪市の税理士が教える事前対策
-
2025.11.28大阪市宗教法人の収益事業における「役員報酬」の適正化とは
-
2025.11.21法人が適切に使える節税スキームとは?大阪市での導入事例あり
-
2025.11.20宗教法人×不動産活用|大阪市で進む資産運用と税務の最適解
-
2025.11.18宗教法人が土地の寄附を受けるときに注意すべき「措法40条」──知らないと“寄附者”に課税リスク
-
2025.11.17宗教法人が運営する「1泊1,000円の宿泊施設」は課税対象?──“低廉な宿泊施設”の判断ポイントをわかりやすく整理
-
2025.09.202025年税制改正、大阪市の税理士が解説する宗教法人への影響とは
-
2025.10.01宗教法人にもオンライン税務調査の波──住職・代表役員が知っておくべき“DX時代の備え”
-
2025.09.256. 宗教法人の収益事業と法人税・地方法人税のポイント
-
2025.09.26大阪市でよくある宗教法人の税務調査パターンとその対策
-
2025.09.267. 宗教法人の法人税・地方法人税の申告・納付と事業年度対応
-
2025.09.181.収益事業を行う宗教法人の税務顧問が教える基礎知識
-
2025.09.27大阪市で税理士と一緒に取り組む法人の節税とキャッシュフロー改善
-
2025.10.06大阪市の宗教法人向け|収益事業開始前にやるべき会計整備3ステップ
-
2025.10.07大阪市で税務と経営両面から法人を支える顧問税理士の選び方
-
2025.12.22宗教法人の経理担当者必見!大阪市の税理士が語る記帳のプロセス改革
-
2025.09.11大阪市の法人が税理士に「税務+経営相談」を一括で依頼するメリット
-
2026.08.17保育士が幼稚園教諭免許を取得する費用を宗教法人が負担したら課税?税理士が解説
-
2026.01.15税理士が解説|大阪市 宗教法人の「収益事業の再構築」を行うために
-
2026.08.11無利息でお金を貸しても大丈夫?宗教法人から公益法人への貸付けを税理士が解説
-
2025.09.16税理士に経営相談もできる?大阪市の法人向けワンストップ支援とは