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税理士事務所

日本政策金融公庫の決算から見える「これからの中小企業融資」~経営者が今から準備すべきこと~

日本政策金融公庫の令和8年3月期決算が公表されました。
決算内容を見ると、単なる「公庫の業績悪化」という話ではありません。むしろ、中小企業経営者にとっては、今後の資金調達環境を考えるうえで非常に重要なシグナルが含まれています。
今回は、日本政策金融公庫の決算から読み取れる今後の融資環境の変化と、経営者が今から準備しておくべきポイントについて解説します。
## 公庫の経常損失拡大の背景
日本政策金融公庫の令和8年3月期決算では、経常損失が2,925億円となり、前期より918億円損失が拡大しました。
最大の要因は、貸倒引当金繰入額の増加です。
貸倒引当金とは、将来発生する可能性のある貸し倒れに備えて計上する費用です。つまり、公庫が「返済に不安のある先が増えている」と見込んでいることを意味します。
特に注目したいのは、小規模事業者向け融資を担当する国民生活事業です。
貸出条件緩和債権(いわゆるリスケ債権)は、
・令和7年3月期 1兆1,603億円
・令和8年3月期 1兆2,432億円
と増加しています。
コロナ融資の返済が本格化する中で、資金繰りに苦しむ事業者が一定数存在している現実が数字にも表れています。
## 今後の融資審査はどう変わるのか
今回の決算から考えられるのは、「融資が受けられなくなる」ということではありません。
むしろ、「融資先の選別がより明確になる」ということです。
金融機関はこれまで以上に、
・返済能力
・事業の将来性
・経営改善の実現可能性
を重視するようになるでしょう。
特に注意したいのは、
・返済遅延がある
・過去にリスケジュールを行った
・業績改善の説明ができない
といったケースです。
一方で、
・創業
・新規事業
・DX投資
・省エネ投資
・事業承継
・生産性向上投資
など、将来の成長につながる資金需要については引き続き支援される可能性が高いと考えられます。
金融機関も限られた資金を「未来をつくる投資」に振り向けたいからです。
## 「公庫だけ」から「協調融資」へ
今後さらに進むと考えられるのが、民間金融機関との協調融資です。
これまでは、
「まず公庫に相談する」
という経営者も多かったと思います。
しかし今後は、
「銀行+公庫」
という形での資金調達が増えていく可能性があります。
金融機関同士が情報共有しながら融資判断を行うため、普段から銀行との関係づくりが重要になります。
決算書だけ提出して終わりではなく、
・定期的な面談
・業績報告
・資金繰り状況の共有
が求められる時代になっていくでしょう。
## 経営者が今すぐ取り組むべき3つのこと
### ① 数字で説明できる事業計画を作る
売上予測について、
「頑張ります」
「営業を強化します」
では金融機関は納得しません。
・どの顧客に
・何を
・どれだけ販売するのか
まで具体化された計画が必要です。
### ② 月次で業績を把握する
決算書が完成するのは期末から数か月後です。
しかし金融機関が見たいのは「今の状況」です。
毎月の試算表を作成し、利益や資金繰りを把握できる体制を整えましょう。
### ③ 銀行との対話を習慣化する
融資は申込みの瞬間に始まるのではありません。
日頃から金融機関との信頼関係を築いている企業ほど、有事の際にも支援を受けやすくなります。
良い時も悪い時も情報共有する姿勢が大切です。
## まとめ
今回の日本政策金融公庫の決算は、中小企業を取り巻く金融環境の変化を示す重要なメッセージだと感じます。
これからは「借りられる会社」と「借りにくい会社」の差がより明確になっていくでしょう。
その違いを生むのは企業規模ではありません。
自社の数字を把握し、将来を説明でき、金融機関との信頼関係を築いているかどうかです。
そして、その体制づくりを支援するのが顧問税理士の重要な役割でもあります。
融資は単なる資金調達ではなく、経営そのものを映す鏡です。
これからの時代こそ、経営者・金融機関・税理士が同じ方向を向いて伴走することが、企業の持続的成長につながるのではないでしょうか。

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