クレメンティア
税理士事務所

補助金で購入したソフトウェア、中小企業投資促進税制は「取得年」と「供用年」のどちらで使える?

個人事業主の方が設備投資やDX化を進める際、補助金と税制優遇を組み合わせるケースが増えています。
その中でもよく質問をいただくのが、
「今年購入したソフトウェアは、今年の確定申告で税額控除を受けられるのか?」
というものです。
実は、中小企業投資促進税制は「購入した年」ではなく、「事業で使い始めた年」が重要になります。
今回は、デジタル化やAI導入を検討している個人事業主の方向けに、中小企業投資促進税制の適用時期についてわかりやすく解説します。
■ 中小企業投資促進税制とは
中小企業投資促進税制は、一定の設備投資を行った中小企業や個人事業主を支援するための税制優遇制度です。
対象となる設備を導入した場合、次のいずれかを選択できます。
・取得価額の30%の特別償却
・取得価額の7%の税額控除
※税額控除は一定の要件があります。
設備投資による資金負担を軽減し、事業の生産性向上やデジタル化を後押しすることが制度の目的です。
■ よくある勘違い「購入した年に適用できる」
例えば次のようなケースを考えてみましょう。
【事例】
・令和8年12月に業務用ソフトウェアを購入
・取得価額300万円
・補助金を活用して導入
・実際の運用開始は令和9年1月
この場合、
「お金を支払ったのは令和8年だから、令和8年分の確定申告で税額控除できるのでは?」
と思われる方も少なくありません。
しかし税務上の結論は異なります。
■ ポイントは「事業の用に供した日」
中小企業投資促進税制では、
「取得した日」
ではなく、
「事業の用に供した日」
が判定基準となっています。
つまり、設備やソフトウェアを実際に事業で利用開始した日が重要です。
今回の事例では、
・購入:令和8年12月
・利用開始:令和9年1月
となるため、中小企業投資促進税制を適用できるのは令和9年分の所得税です。
■ なぜ「供用開始」が基準なのか
税制の考え方として、設備投資による生産性向上や事業活動への貢献は、実際に使用を開始して初めて発生すると考えられています。
そのため、
・契約しただけ
・代金を支払っただけ
・納品されただけ
では足りません。
実際に事業で利用できる状態になり、運用を開始して初めて税制優遇の対象となります。
これは減価償却の考え方とも共通しています。
■ 個人事業主が注意したい実務ポイント
① 導入スケジュールを確認する
年末に契約や支払いを行っても、実際の運用開始が翌年になるケースは珍しくありません。
特にクラウドシステムやAIツールは、
・初期設定
・データ移行
・操作研修
などに時間がかかるため注意が必要です。
② 確定申告の節税計画を立てる
「今年の所得を減らしたい」
という目的で設備投資を行う場合、供用開始時期によって税効果が1年ずれる可能性があります。
資金繰りや納税資金の計画にも影響するため、事前確認が重要です。
③ 補助金と税制優遇の関係を確認する
補助金を活用した設備投資では、
・圧縮記帳の検討
・補助金収入の計上時期
・税額控除との関係
など複数の論点が発生します。
単純に「補助金が出るから得」という話ではなく、税務全体で判断することが重要です。
■ 経営者が知っておくべき視点
近年はDX化やAI活用への投資が経営課題になっています。
ただし、設備投資の効果を最大化するためには、
「何を買うか」
だけではなく、
「いつ使い始めるか」
まで考える必要があります。
税制優遇の適用時期を理解しておけば、資金繰りや節税対策の見通しも立てやすくなります。
設備投資は経費ではなく未来への投資です。
だからこそ、補助金・税制・資金計画を一体で考えることが重要なのです。
■ まとめ
中小企業投資促進税制は、設備を取得した年ではなく「事業の用に供した年」に適用されます。
今回のケースでは、
・取得:令和8年12月
・供用開始:令和9年1月
であるため、特別償却または税額控除を適用できるのは令和9年分の所得税となります。
年末に設備投資を予定している個人事業主の方は、「購入日」だけでなく「利用開始日」まで含めてスケジュールを確認しておくことをおすすめします。
税制は知っているかどうかで結果が大きく変わります。
設備投資を検討される際は、補助金・税制優遇・資金繰りを総合的に考えながら進めていきましょう。
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クレメンティア税理士事務所
税理士・CFP®・1級FP技能士
小林 匠
「寛容・尊重・応援」の理念で、
個人事業主・中小企業の成長と夢の実現をサポートしています。
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