クレメンティア
税理士事務所

通勤手当の非課税ルールが変わった!でも「2km未満」は対象外?中小企業が押さえるべき駐車場代の新ルール

令和8年度税制改正により、マイカー通勤者が負担する駐車場代について、新たに通勤手当の非課税枠へ加算できる制度が創設されました。
「従業員の負担軽減につながる良い改正だ」と感じた経営者の方も多いかもしれません。
しかし、すべてのマイカー通勤者が対象になるわけではありません。
特に注意したいのが「通勤距離2km未満」の従業員です。
今回は、中小企業経営者の皆さま向けに、今回の改正内容と実務上の注意点をわかりやすく解説します。
■ 通勤手当の非課税制度とは
会社が従業員へ支給する通勤手当には、一定額まで所得税がかからない「非課税制度」があります。
これまでも電車やバス、自家用車などの通勤方法ごとに非課税限度額が定められていました。
令和8年度税制改正では、自家用車通勤者の実態を踏まえ、一定の条件を満たす駐車場等の利用料金について、月額5,000円を上限に非課税限度額へ加算できるようになりました。
物価上昇や駐車場代の負担増を背景とした見直しといえるでしょう。
■ 改正のポイントは「駐車場代の加算」
今回の改正により、一定要件を満たす場合、
「通勤距離に応じた非課税限度額」
+
「駐車場等の料金相当額(上限5,000円)」
が非課税限度額となります。
例えば、従業員が会社近隣の月極駐車場を利用し、その費用を自己負担しているケースでは、その駐車場代相当額を非課税枠へ加算できる可能性があります。
企業にとっては福利厚生の充実にもつながる制度改正です。
■ ただし「通勤距離2km未満」は対象外
ここで注意が必要です。
今回の駐車場代加算制度は、すべてのマイカー通勤者が対象ではありません。
国税庁のQ&Aでは、通勤距離が片道2km未満の人は対象者から除外されることが明確に示されています。
つまり、
・自宅から会社まで1.5km
・駐車場代を毎月支払っている
・マイカー通勤している
というケースであっても、その駐車場代は非課税通勤手当として取り扱うことはできません。
会社が支給する場合には課税対象となるため注意が必要です。
■ 中小企業が見直すべきポイント
今回の改正を機に、経営者や総務担当者は次の点を確認しておきましょう。
① 通勤距離の把握
従業員の申請情報が古いままになっていないか確認しましょう。
② 駐車場利用の実態確認
駐車場代の加算を適用する場合は、実際に従業員が負担していることを確認できる資料の保存が重要です。
③ 就業規則・通勤手当規程の見直し
新制度に対応した支給ルールになっているか確認しましょう。
④ 給与計算ソフトの設定確認
非課税・課税区分の設定ミスは源泉所得税や年末調整にも影響します。
■ 経営者視点で考えるべきこと
今回の改正は単なる税務上の変更ではありません。
人材確保や定着という観点から見ると、通勤コストへの配慮は従業員満足度にも直結します。
一方で、制度を正しく理解しないまま運用すると、税務調査時に課税漏れや源泉徴収漏れを指摘される可能性があります。
福利厚生を充実させながらも、税務リスクを回避するためには、制度改正の内容を正確に把握し、自社の運用へ落とし込むことが重要です。
■ まとめ
令和8年度税制改正により、一定のマイカー通勤者については駐車場代(月額5,000円まで)が通勤手当の非課税枠へ加算できるようになりました。
しかし、通勤距離が片道2km未満の従業員は対象外です。
「駐車場代が非課税になった」と一括りに理解するのではなく、対象者の条件まで確認することが重要です。
税制改正は制度そのものよりも、実務への落とし込みが経営の成果を左右します。
自社の通勤手当制度が今回の改正に対応できているか、この機会にぜひ確認してみてください。
――――――――――
クレメンティア税理士事務所
税理士・CFP®・1級FP技能士
小林 匠
「寛容・尊重・応援」の理念で、中小企業の成長と経営者の想いの実現をサポートしています。
――――――――――


Instagram

インスタグラム

    Related

    関連記事