クレメンティア
税理士事務所

代表取締役が急逝…取締役会は成立するのか?
― 中小企業経営者が知っておくべき“緊急時ガバナンス”の実務対応 ―

経営者に万一のことが起きたとき、会社はどのように意思決定を行うのでしょうか。
今回のテーマは、「代表取締役が死亡した場合、残りの取締役2名で取締役会決議は可能か」という実務上きわめて重要な論点です。
中小企業にとって、これは決して他人事ではありません。
事業承継・リスク管理の観点からも、整理しておきましょう。
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■ 事例の概要
取締役会設置会社で、取締役は3名。
・代表取締役A
・取締役B
・取締役C
代表取締役Aが急逝。
現在は取締役2名のみ。
この状況で、
① 取締役B・Cの2名で代表取締役を選定できるか
② 2名で本店移転を決議できるか
が問題となります。
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■ ①代表取締役の選定は可能か?
会社法上、取締役会設置会社は取締役を3名以上置く必要があります。
しかし、代表取締役が不在の状態は、会社運営に重大な支障を及ぼします。
そのため実務上は、
「残存取締役2名で代表取締役を選定することは可能」
と解されています。
これは、あくまで会社機能を止めないための“例外的な便宜措置”です。
代表者がいなければ、銀行取引、契約締結、対外的意思表示ができません。
経営の継続性を優先する判断です。
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■ ②本店移転の決議は可能か?
一方で、本店移転のような通常の取締役会決議については話が異なります。
法定員数(3名)を欠いた状態での決議は、原則として無効と解されます。
つまり、
× 2名で本店移転を決議することはできない
○ まず株主総会で後任取締役を選任する必要がある
という結論になります。
ここを誤ると、登記自体が受理されない、あるいは後日無効リスクが生じる可能性があります。
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■ 実務上の対応ポイント
1.株主総会は必ずしも“現地開催”でなくてよい
 ・委任状による出席
 ・オンライン出席
 など柔軟な方法が活用可能です。
2.補欠取締役の事前選任を検討する
 会社法329条3項に基づき、あらかじめ補欠取締役を選任しておくことが可能です。
遠方株主が多い会社や、少人数経営の会社ほど、
この備えは極めて重要です。
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■ 経営者として考えておくべきこと
今回の論点は法律問題であると同時に、
「経営リスク管理」の問題でもあります。
・代表者に万一があった場合の意思決定フローは明確か
・銀行・主要取引先との契約はどうなるか
・株主総会は機動的に開ける体制か
・補欠役員の設計はできているか
中小企業ほど、経営者依存度が高い。
だからこそ、“もしも”の設計が会社の強さになります。
危機は起きてから考えるのでは遅い。
仕組みは、平時に整えるものです。
経営の安定性を高めるためにも、
一度、自社のガバナンス体制を点検してみてはいかがでしょうか。


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