クレメンティア
税理士事務所
通勤手当の非課税限度額改正で見落としがちな「駐車場代」
― 中小企業が今すぐ確認すべき実務ポイント ―
― 中小企業が今すぐ確認すべき実務ポイント ―
令和8年度税制改正により、通勤手当の非課税限度額が見直されました。
一見すると「遠距離通勤者の上限が上がった」という話に見えますが、
実務上はもう一つ重要なポイントがあります。
それが、
**「駐車場代の取扱い」**です。
特に中小企業では、
・通勤手当として明示していない
・会社が駐車場代を直接負担している
・給与とは別に精算している
こうしたケースが少なくありません。
今回は、経営者の皆さまに向けて、
**今回の改正の要点と、実務で確認しておきたいポイント**を整理してお伝えします。
――――――――――――――――――
■ 改正のポイントは大きく2つ
――――――――――――――――――
今回の改正は、次の2点です。
① 片道65km以上の通勤者の非課税限度額の引上げ
② 駐車場代(上限5,000円)を非課税限度額に加算できる制度の創設
ここで重要なのは、②です。
**駐車場代は「通勤手当として支給しているかどうか」に関係なく、
非課税限度額に影響する**という点です。
これは、実務上かなり見落とされやすいポイントです。
――――――――――――――――――
■ 見落としがちな論点
「支給していない」ではなく「負担している」かどうか
――――――――――――――――――
例えば、次のようなケースです。
・会社名義で駐車場を契約している
・給与明細に通勤手当として表示していない
・実費精算している
・福利厚生扱いにしている
この場合でも、
**通勤のための駐車場代を会社が負担しているのであれば、
非課税限度額の計算上は「加算対象」になります。**
ここは制度上の考え方が少し独特で、
「科目」ではなく「実態」で判断されます。
税務の現場では、
**名目より実態**
これが原則です。
――――――――――――――――――
■ ただし、多くの会社では「実質影響なし」の可能性も
――――――――――――――――――
一方で、冷静に整理すると、
多くの会社では次のような状況だと思います。
・これまでも非課税限度額の範囲内で支給している
・今後も同じ範囲内で支給する
この場合、
**今回の改正によっても、結果的な非課税額は変わらない**
というケースがほとんどです。
つまり、
制度上は「上乗せ」されていても
実務上は「影響なし」
ということが起こります。
ここは経営判断として、
過度に心配する必要はありません。
――――――――――――――――――
■ 影響が出る可能性が高い会社
――――――――――――――――――
次のような場合は、今回の改正の影響が出る可能性があります。
① 駐車場代をこれから通勤手当に含める予定がある
② 通勤手当の一部が課税扱いになっている
③ 従業員ごとの通勤実態を十分に把握していない
④ 車通勤者が多い(地方拠点・工場・建設業など)
特に、
**「課税されている通勤手当がある会社」**
ここは今回の改正で
非課税枠が拡大する可能性があります。
これは、
・従業員の手取り増
・会社の社会保険料の減少
につながる可能性があるため、
むしろ前向きに見直す価値があります。
――――――――――――――――――
■ 経営者として今やっておきたい3つの確認
――――――――――――――――――
今回の改正を受けて、
最低限、次の3点だけ確認していただければ十分です。
① 車通勤者の把握
・通勤距離
・駐車場の利用有無
・駐車場代の負担状況
② 支給方法の確認
・通勤手当として支給しているか
・実費精算か
・会社直接契約か
③ 申請書・届出書の整備
・通勤経路
・通勤距離
・駐車場利用状況
ここは税務というより、
**内部統制・労務管理**の話でもあります。
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■ 実務的な一言アドバイス
――――――――――――――――――
今回の改正は、
「税額が大きく変わる制度」
というよりも、
**「管理の精度が問われる制度」**
だと感じています。
制度改正の本質は、
税率ではなく、
**把握と記録**にあります。
特に中小企業では、
・昔からの慣習
・口頭管理
・個別対応
が残りやすい分、
この機会に一度整理しておくと、
後々の税務調査でも安心です。
――――――――――――――――――
■ まとめ
――――――――――――――――――
今回の通勤手当の改正で、
最も重要なポイントは次の一つです。
**駐車場代は「支給しているか」ではなく
「負担しているか」で判断される**
そして、
多くの会社では
すぐに税額が変わるわけではありません。
しかし、
**正しく把握しているかどうか**
ここが、
これからの税務・労務管理の分かれ目になります。
制度改正は「負担」ではなく、
「仕組みを整える機会」。
そう捉えていただければ、
経営の安心感は確実に高まると考えています。
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