クレメンティア
税理士事務所
コロナ融資が残っていても大丈夫?
― 原油高騰時代の「追加融資」を実現するための実務ポイント
原油価格の上昇、物流費の高騰、仕入価格の上昇。
多くの中小企業が「利益は出ているはずなのに、資金が減っていく」という感覚を持たれているのではないでしょうか。
そして今、現場でよくいただくご相談がこちらです。
**「まだコロナ融資の返済が残っているのですが、追加で融資は受けられるのでしょうか?」**
結論から申し上げます。
**原則として、追加融資は可能です。**
ただし、通るかどうかは「理由」ではなく、**準備の質**で決まります。
今回は、中小企業経営者の視点で、実務的に押さえておきたいポイントを整理します。
---
## 結論:コロナ融資が残っていても、追加融資は可能
まず最初に安心していただきたいのはここです。
コロナ融資は
**「危機対応」枠**
一方、原油高騰などへの対応は
**「経営環境変化対応」枠**
と、制度上の位置づけが異なります。
そのため、
**コロナ融資の残高があっても、追加融資の申請自体は問題なく可能**
とされています。
特に現在は、
**セーフティネット保証4号(100%保証)** が発動されている局面では、金融機関としても取り扱いやすく、実務上のハードルは下がっています。
ただし――
ここからが重要です。
---
## 融資が通る会社と、通らない会社の違い
私が現場で見てきた中で、差は明確です。
それは、
**「資金繰りが悪化した理由を、数字で説明できるかどうか」**
これに尽きます。
---
### 例えば、こういう説明ができているか
■ 原価率
・昨年:58%
・今年:67%
→ **9ポイント上昇**
■ 燃料費
・昨年:月40万円
・今年:月62万円
→ **22万円増加**
■ 営業利益率
・昨年:8%
・今年:2%
→ **6ポイント悪化**
このように、
**「感覚」ではなく「数値」**
で示せるかどうかが、審査の分岐点になります。
---
## 追加融資で必ず準備しておきたい「3つの資料」
ここは実務上、非常に重要です。
この3つが揃っていれば、金融機関との会話が一気に前向きになります。
---
### ① 今後12ヶ月の資金繰り表
これは最重要資料です。
金融機関が知りたいのは、
**「いつ資金が足りなくなるのか」**
**「いくら必要なのか」**
この2点です。
逆に言えば、
ここが曖昧だと、
融資はほぼ進みません。
---
### ② 原油高騰の影響を示す資料
特別な書類は不要です。
次のような推移表で十分です。
・原価率の推移
・燃料費の推移
・仕入単価の推移
・粗利率の推移
ポイントは、
**「原油高騰が原因である」**
ことを客観的に示すことです。
---
### ③ 返済原資を説明できる事業計画書
金融機関は、必ずここを見ています。
**「この会社は、どうやって返すのか?」**
その答えが必要です。
例えば:
・価格転嫁の計画
・コスト削減の計画
・新規顧客の獲得計画
・利益改善の見込み
完璧である必要はありません。
しかし、
**筋が通っていること**
これが極めて重要です。
---
## 見落としやすい注意点:資金使途
ここも誤解が多いポイントです。
追加融資は、
**原則として「運転資金」**
に限られます。
つまり、
**既存借入の単純返済目的**
は認められません。
ただし実務では、
・借換
・条件変更
・返済期間の延長
といった対応は、柔軟に行われています。
実際に国(金融庁)も、
**「事業者に寄り添った迅速かつ柔軟な対応を継続すること」**
と金融機関に要請しています。
ここは、過度に心配しなくて大丈夫です。
---
## 私が経営者の方に必ずお伝えしていること
資金調達で最も危険なのは、
**「まだ大丈夫」と思っている時間**
です。
資金繰りは、
**悪くなってからでは遅い**
のです。
実務的な目安としては:
**資金が足りなくなる6ヶ月前**
ここが相談のタイミングです。
---
## まとめ:追加融資は「準備」で決まる
今回のポイントを整理します。
■ コロナ融資が残っていても追加融資は可能
■ 制度枠が異なるため原則問題なし
■ ただし審査は「数字」で判断される
■ 12ヶ月資金繰り表が最重要資料
■ 早めの準備が資金調達の成否を分ける
原油高騰は、経営努力だけではコントロールできません。
だからこそ、
**「資金繰りは経営そのもの」**
だと私は考えています。
もし今、
・利益は出ているのに資金が減っている
・借入の返済が重く感じてきた
・追加融資を検討している
そんな状況であれば、
**数字を整理すること**
ここから始めてみてください。
それが、
会社を守る最初の一歩になります。
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