クレメンティア
税理士事務所
「4月で退職した専従者でも扶養にできない?」
― 個人事業主が見落としやすい“1日でも支給”のルール
売上の変動に合わせて、家族の働き方を見直す。
個人事業主であれば、誰もが経験する場面ではないでしょうか。
今回のテーマは、
**「年の途中で専従者を辞めた場合、扶養に入れられるのか?」**
という非常に実務的で、しかも誤解が多い論点です。
結論はシンプルですが、
知らないと“思わぬ税負担”につながります。
個人事業主の方にとって大切な判断ポイントを、現場目線で解説します。
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## 結論:1日でも専従者給与を払えば、その年は扶養にできない
今回の事例では、
・妹さんは1月~4月まで青色事業専従者として勤務
・給与合計:32万円
・5月以降は他社でパート勤務(64万円見込み)
という状況でした。
この場合、
**所得金額が扶養の範囲内であっても**
**その年に一度でも専従者給与を受けていれば、扶養親族にはできません。**
ここが最大のポイントです。
---
## なぜ所得が少なくても扶養にできないのか
通常、扶養に入れるかどうかは、
・年間所得が62万円以下(給与収入136万円以内)
・生計を一にしている
・16歳以上
といった条件で判断します。
しかし、青色事業専従者には
**特別ルール**があります。
それは、
**「その年に専従者給与の支払いを受けた人は、扶養親族から除外する」**
というものです。
つまり、
・所得が少ないかどうか
・途中で辞めたかどうか
は関係ありません。
**“その年に1円でも支払ったかどうか”**
これだけで判定されます。
非常にシンプルですが、
実務ではここを見落としやすいのです。
---
## 個人事業主が注意すべき3つの実務ポイント
### ①「途中退職すれば扶養に戻せる」は誤解
よくある勘違いがこれです。
・4月で退職した
・その後は別の会社で働く
・収入も少ない
だから扶養にできるだろう、
と考えてしまう。
しかし税務上は、
**「年単位」で判定**
します。
したがって、
**年の途中で辞めても、その年は扶養に戻せません。**
---
### ②節税だけでなく「制度設計」の問題
専従者給与は、
・所得分散
・社会保険対策
・事業承継準備
など、非常に有効な制度です。
一方で、
・扶養控除が使えない
・配偶者控除も使えない
・年途中でも適用される
という特徴があります。
つまりこれは、
**節税テクニックではなく、制度選択**
なのです。
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### ③来年から扶養に戻すことは可能
今回のケースでも、
**令和9年(来年)に専従者給与の支払いがなければ**
条件を満たすことで、
・扶養親族
・扶養控除
の対象にすることは可能です。
したがって実務では、
**「今年は無理、来年は可能」**
という時間軸で整理することが重要です。
---
## 私が現場でよくお伝えしていること
家族を専従者にするかどうかは、
単なる節税の話ではありません。
・売上の見通し
・働き方の柔軟性
・家族のキャリア
・社会保険
・将来の事業承継
これらすべてに関係します。
だからこそ私は、
**「税金だけで決めない」**
**「1年単位で設計する」**
この2つを強くお勧めしています。
---
## まとめ
今回のポイントを整理します。
・年の途中で専従者を辞めても
・所得が少なくても
・他社で働いていても
**その年に一度でも専従者給与を受けていれば、扶養にはできない**
ここが実務上の結論です。
個人事業主にとって、
家族の働き方は経営そのものです。
もし、
・専従者にするか迷っている
・途中で働き方を変える予定がある
・扶養との関係を整理したい
そんなときは、
「今年だけ」でなく
**“来年まで含めた設計”** を考えてみてください。
それが、
無理のない経営と、納得できる税務につながります。
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