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「実は自転車通勤だった」従業員への定期代、返還請求はできる?企業が押さえるべき法的ポイント
「電車通勤」と申請していた従業員が、実は自転車通勤だった——。こうしたケースは、特に小規模な組織ほど見逃されやすく、後々トラブルになりかねません。今回は、交通費の過払いが発覚した場合に企業としてどう対応できるのか、返還請求や給与からの相殺の可否、再発防止策まで、中小企業経営者の視点で解説します。
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## 不正受給が発覚。交通費の返還は請求できる?
まず結論から申し上げると、「不当に受け取った交通費は返還請求が可能」です。
これは民法703条の「不当利得返還義務」に該当します。
実際に支給していた定期代が、実は電車に乗っていなかった——つまり会社が本来支払う必要のないお金を支給していたとなれば、その分は返してもらうことが可能です。
返還請求の時効については、
- 請求できると知ってから**5年**
- 知らなかったとしても、権利行使が可能になってから**10年**
とされています(民法166条)。
## 「給与からの天引き」はできるのか?
従業員がすぐに返金できない場合、給与からの相殺(いわゆる“天引き”)を検討することになりますが、これは慎重に進めるべきポイントです。
以下の条件を満たせば、給与相殺は可能と判断されています。
1. **過払い発生時期と近接した時期の相殺であること**
2. **あらかじめ従業員に通知・同意を得ていること**
3. **少額であること(生活を脅かさない範囲)**
実務上は、**労使協定の締結**(労基法24条)に加え、**個別同意書の取り付け**をしておくことが望まれます。
さらに、控除できる金額にも上限があります。原則として、**賃金の4分の1以内**に収める必要があります(民法510条、民事執行法152条)。
## 再発防止策:通勤経路の定期確認を
こうした事態を未然に防ぐためにも、次のような対策が有効です。
- 通勤経路の**申告書を定期的に提出させる**(年1回など)
- **ICカードの提示**を求める企業も増加傾向
- 勤怠システムとの連携による不正防止も有効
多くの経営者が「信頼していたのに裏切られた」と精神的なダメージを受けがちですが、問題は**仕組みで防ぐ**ことが基本です。
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## 経営者として大切なスタンス
このようなケースでは、「返還請求する・しない」の判断だけでなく、**社内の信頼関係**をどう保つかも重要な視点です。
過去の交通費はしっかり請求しつつ、感情的な対立を避けるためにも、丁寧な対話と透明なルール整備を心がけましょう。
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【まとめ】
✔ 交通費の不正受給は返還請求できる(民法703条)
✔ 給与からの相殺は条件付きで可能(労基法・判例・民法)
✔ 再発防止には通勤経路の定期確認が有効
✔ 経営者としての信頼構築の姿勢も忘れずに
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📌 **経営の「リスク管理」と「人を活かす仕組み作り」は、両輪で考える時代です**
企業の成長に欠かせない「お金と人のバランス」に悩んだときは、税務・財務・組織づくりに精通した専門家にご相談ください。
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