クレメンティア
税理士事務所
令和8年度税制改正大綱で何が変わる?
― 免税事業者からの仕入れに係る経過措置の見直しと、中小企業が取るべき対応 ―
インボイス制度開始から約2年半。
建設業をはじめ、多くの中小企業では「免税事業者への外注」をどう扱うかが、引き続き経営判断のテーマになっています。
そうした中、令和8年度税制改正大綱で
**「免税事業者からの仕入れに係る経過措置の見直し」**
が盛り込まれました。
今回は、この改正内容を整理したうえで、
中小企業経営者として“今から何を考えておくべきか”を解説します。
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■ 1.そもそも「免税事業者からの仕入れに係る経過措置」とは
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消費税の納付税額は、原則として
・売上にかかる消費税
- 仕入や経費にかかる消費税(仕入税額控除)
で計算されます。
しかし、インボイス制度では
**免税事業者(インボイス未登録)からの仕入れ**については、
原則として「仕入税額控除ができない」仕組みになっています。
そこで設けられたのが、
**免税事業者からの仕入れに係る経過措置**です。
令和5年10月1日~令和11年9月30日までの一定期間は、
免税事業者からの仕入れであっても、
仕入税額相当額の一部を控除できる仕組みが設けられていました。
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この経過措置があることで、
外注先に免税事業者が多い建設業などでは、
急激な税負担増を避けられていたわけです。
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■ 2.令和8年度税制改正大綱での「見直し」のポイント
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今回の税制改正大綱では、
この経過措置について、次の2点が示されました。
① 最終的な適用期限を「2年延長」
② 控除割合の引下げペース・幅を「緩和」
一見すると「延長=安心」と感じるかもしれませんが、
内容を正確に押さえることが重要です。
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■ 3.見直し後の控除割合(新スケジュール)
────────────────────
改正大綱で示された控除割合は、以下のとおりです。
① 令和8年10月1日~令和10年9月30日
→ 仕入税額相当額の **70%**
② 令和10年10月1日~令和12年9月30日
→ 仕入税額相当額の **50%**
③ 令和12年10月1日~令和13年9月30日
→ 仕入税額相当額の **30%**
最終的な終了時期は延びましたが、
**控除割合は段階的に確実に下がっていく**ことが明確になりました。
つまり、
「いずれは免税事業者からの仕入れは、ほぼ控除できなくなる」
という前提は、変わっていません。
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■ 4.見落としがちな「年間適用上限額」の引下げ
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今回の改正で、もう一つ重要なのが
**年間適用上限額の引下げ**です。
現行制度では、
・免税事業者1人あたり
・年間10億円まで
とされていた経過措置の適用上限が、
▶ **1億円に引き下げ**
られることも盛り込まれています。
建設業などで外注金額が大きい会社ほど、
「思っていたより控除できない」
というケースが現実的に起こり得ます。
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■ 5.中小企業経営者が今から考えるべき3つの視点
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今回の改正を受けて、私が経営者の方にお伝えしたい視点は次の3つです。
① 「延長=問題先送り」ではない
経過措置は延びましたが、
本質的には**免税事業者との取引コストは上がる方向**です。
先送りせず、数字で影響を把握することが重要です。
② 外注先との関係性をどう設計するか
・インボイス登録を促すのか
・報酬単価を見直すのか
・取引形態を変えるのか
「税負担」だけでなく、
長期的な協力関係も踏まえた判断が求められます。
③ 消費税を“経営の問題”として捉える
消費税は「預り金」ではありますが、
実務上はキャッシュフローや利益に直結します。
税制改正を、経営管理の見直しにつなげる視点が欠かせません。
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■ 6.まとめ
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令和8年度税制改正大綱による経過措置の見直しは、
・ 期限は延びたが
・ 控除割合は下がり
・ 上限額も引き下げられる
という内容です。
「まだ大丈夫」ではなく、
**“いつ・どれだけ影響が出るのか”を把握すること**が、
これからの中小企業経営には不可欠です。
制度の変化を、
単なる税務対応で終わらせず、
経営判断の材料として活かしていきましょう。
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