クレメンティア
税理士事務所
会社をこのまま休眠させても大丈夫?
―「何もしない選択」が将来の経営リスクになる理由―
「今は使っていない会社だから、とりあえず休眠でいいだろう」
中小企業の経営者の方から、こうしたご相談を受けることは少なくありません。
確かに、会社をすぐに解散・清算せず、法的に存続させたまま休眠させるという選択肢はあります。
ただし、“休眠=問題が止まる”わけではない点には、十分な注意が必要です。
### 1.休眠しても「会社は生きている」
まず大前提として、休眠とは「事業活動を止める」だけであり、
**法人そのものは法的に存続**しています。
そのため、
・A社との売掛金・買掛金
・代表取締役個人からの借入金
といった**債権債務は、休眠してもそのまま残ります。**
帳簿上も、法的にも「未解決の関係」が継続している状態です。
将来、会社を再稼働させる可能性があるのであれば、
今のうちに弁済や相殺などで整理しておく方が、後々の経営判断は圧倒的に楽になります。
### 2.税金、とくに延滞税は“休眠してくれない”
今回のケースで、最も注意すべきは**延滞税の存在**です。
税務の世界では、
「休眠しているかどうか」は、基本的に関係ありません。
延滞税の支払義務はそのまま残り、
放置すればするほど金額は増え、
最悪の場合は**預金や財産の差押え**に発展することもあります。
「もう動いていない会社だから大丈夫」
この感覚が、後から大きなトラブルにつながるケースを私は何度も見てきました。
### 3.“とりあえず休眠”が将来の足かせになることも
休眠は一時的な選択として有効な場合もあります。
しかし、債務や税務リスクを抱えたままの休眠は、
・再開時の信用低下
・金融機関や税務署との関係悪化
・経営者個人への心理的・実務的負担
といった形で、将来に影を落とします。
### まとめ:休眠は「整理してから」が経営者としての判断
今回の事例から言えることはシンプルです。
✔ 休眠は可能だが、問題が消えるわけではない
✔ 債権債務はできる限り整理してから
✔ 延滞税は必ず対応する
「今は動かさない」という判断こそ、
**将来を見据えた整理と準備**が、経営者には求められます。
休眠・清算・再編――
どの選択が最適かは、会社と経営者の状況次第です。
迷ったときこそ、専門家と一緒に“今と将来の両方”を見ながら判断することをおすすめします。
寛容に、しかし現実的に。
それが、経営を続けていくための大切な姿勢だと私は考えています。
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