クレメンティア
税理士事務所
ミャンマー人従業員の国外居住親族と扶養控除|送金をまとめた場合の実務上の注意点
外国人従業員を雇用する中小企業が増える一方で、「国外居住親族の扶養控除」は、実務でつまずきやすい論点の一つです。
今回は、**ミャンマー人従業員**が母国に住む親族について扶養控除を受けるケースを想定し、**複数人分の生活費をまとめて送金した場合に、扶養控除が認められるのか**という点を整理します。
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## 1.事例の概要(ミャンマー人従業員の場合)
国内で訪問看護事業を営む会社が、**ミャンマー国籍の看護師**を1年以上の予定で雇用しました。
この従業員には、ミャンマー国内に
・35歳
・38歳
の親族が2名おり、いずれも所得税法上の「国外居住親族」に該当します。
会社としては、
- 親族関係書類
- いわゆる「38万円送金書類」
が必要であることは理解しています。
そこで出てきた疑問が、
> 2人分の生活費を、どちらか1人の口座にまとめて送金している場合、その送金書類で2人分の扶養控除が認められるのか?
という点です。
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## 2.扶養控除と「控除対象扶養親族」の基本整理
所得税法では、居住者が「控除対象扶養親族」を有する場合、**1人につき38万円**を所得から控除できると定められています。
国外居住親族(非居住者)の場合、年齢要件に加えて、次のいずれかに該当する必要があります。
- 留学により国外に居住している
- 障害者である
- その年に、生活費または教育費として**38万円以上の支払を受けている**
今回の事例では、最後の「38万円以上の支払」を根拠に扶養控除を検討するケースです。
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## 3.国外居住親族に必要な「確認書類」
ミャンマーなど海外に住む親族について扶養控除を適用する場合、従業員は会社に対し、次の確認書類を提出(または提示)する必要があります。
- 親族関係書類
- 送金関係書類
- 38万円送金書類
これらは、年末調整や確定申告において非常に重要なポイントになります。
なお、この取扱いは :contentReference[oaicite:0]{index=0} が公表している
「国外居住親族に係る扶養控除等Q&A」でも明確に示されています。
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## 4.送金関係書類・38万円送金書類の考え方
ここで重要なのは、**送金は「親族ごと」に確認される**という点です。
- 送金関係書類
→ その年に、国外居住親族**各人に対して**生活費等を支払った事実を示すもの
- 38万円送金書類
→ 各人ごとに、その年の送金合計額が38万円以上であることを示すもの
つまり、「世帯単位」や「まとめて送金」という考え方は、原則として通用しません。
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## 5.複数人分を1人の口座にまとめて送金した場合の結論
今回のケースのように、
- 国外居住親族が2名いる
- 2名分の生活費を、どちらか1名の口座にまとめて送金している
という場合、その送金書類は、
👉 **送金先となっている1名分の送金関係書類にしかならない**
と整理されます。
もう1名については、
- 「その人に対して38万円以上の生活費を支払った」
ことを直接示す送金書類が存在しないため、**扶養控除の要件を満たさない**ことになります。
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## 6.中小企業経営者が実務で気をつけたいポイント
この論点は、経営者や経理担当者が次の点を誤解しやすい部分です。
- 家族だからまとめて送っても問題ないと思っていた
- 海外の実務慣行を日本の税務に当てはめてしまった
- 年末調整直前に発覚し、修正が間に合わない
特に外国人従業員を雇用する企業では、**送金方法の段階から税務要件を意識すること**が重要です。
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## まとめ|「まとめて送金」は扶養控除では通用しない
ミャンマー人従業員に限らず、国外居住親族の扶養控除では、
- 扶養控除は「人ごと」に判定
- 送金も「人ごと」に証明が必要
という原則があります。
外国人雇用が当たり前になりつつある今こそ、
「知らなかった」では済まされない税務リスクを、事前に潰しておくことが、経営の安定につながります。
実務対応に不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
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