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税理士事務所

通勤手当の「非課税限度額」が改正される?──中小企業が“今から”準備すべきポイントを徹底整理

国税庁が公開した年末調整資料の中に、ひときわ気になる一文がありました。
「通勤手当に係る非課税限度額の改正が行われる場合には、年末調整での対応が必要となることがあります。」
まだ法案すら出ていない状況ですが、2014年に同様の改正があった際の流れを踏まえると、**“ギリギリで法改正 → 適用開始”** となる可能性が高く、中小企業も無関係ではありません。
今回は、想定される改正の方向性と、企業としてどのように備えるべきか、経営者視点で整理します。
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## 1. そもそも「通勤手当の非課税限度額」とは?
従業員に支給する通勤手当のうち、
**一定額までは所得税の課税対象外=非課税扱い**
となる制度です。
電車・バスなどの公共交通機関だけでなく、
**マイカー・自転車通勤にも距離に応じた非課税枠** が存在します。
この非課税限度額は法令に基づくため、
**国会を通した法改正が必要**。
通達では決められない仕組みになっています。
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## 2. 今回、国税庁が「注意喚起」している背景
公表されている情報ではまだ「改正案」は提示されていません。
しかし、
・人事院が通勤手当の引き上げを勧告
・2014年にも同じ流れで、法案 → 国会通過 → 年末調整でギリギリ対応
・今回も同様に、令和7年4月適用に向けて動く可能性が高い
という状況から、
国税庁としても **「改正が来る可能性が高いので準備しておいてください」**
というサインを出している、と受け止めるべきです。
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## 3. 引き上げが予想されている金額(マイカー・自転車通勤)
※あくまで「予想値」。法案提出後に正式決定されます。
片道距離|現行|改正予想|増加額
- 10km未満:4,200円 → 4,200円(±0)
- 10〜15km:7,100円 → 7,300円(+200円)
- 15〜25km:12,900円 → 13,500円(+600円)
- 25〜35km:18,700円 → 19,700円(+1,000円)
- 35〜45km:24,400円 → 25,900円(+1,500円)
- 45〜55km:28,000円 → 32,300円(+4,300円)
- 55km以上:31,600円 → 38,700円(+7,100円)
特に長距離通勤に対して非課税額が大きく上がる見込みで、
地方企業ほど影響は大きくなります。
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## 4. 経営者として「今からできる備え」
### ① 該当従業員の通勤距離を把握
改正時に対象者を即座に抽出できるよう、
**通勤経路・距離の最新データを更新**しておきましょう。
### ② 給与システム会社・社労士に事前連絡
改正のタイミングが年度をまたぐため、
**給与計算ソフトの対応がギリギリ** になる可能性があります。
→ 事前に「今回の改正は想定しているか?」と確認することが重要です。
### ③ 従業員への説明準備
特に長距離通勤の社員は「手当が増えるの?」という関心が高い分、
正確な情報提供が必要になります。
正式な法改正前に誤った周知を避けるため、次のように伝えるのがポイント:
> 「人事院の勧告を受け、非課税額が上がる可能性があります。
> 法案が通過次第、会社として正式に反映します。」
### ④ 年末調整の対応を前倒しで計画
もし令和7年4月から適用の場合、
**年末調整で増減分の調整が必要** になります。
税務担当者の業務が繁忙になるため、
スケジュール管理が命綱です。
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## 5. 中小企業への影響(まとめ)
- 従業員の所得税額に影響
- 企業側の給与計算・年末調整業務に影響
- システム改修や周知対応が必要
- 長距離通勤者が多い企業は影響が特に大きい
- 法案成立のタイミング次第で、非常にタイトな準備期間になる可能性
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## おわりに
今回の改正は「まだ案すら出ていない段階」ですが、
2014年の前例を考えると、
**“経営者として事前に動いておく”ことが極めて重要** です。
制度改正は、情報を早く掴んだ企業ほど対応負荷を抑えられます。
不明点があれば、税務・労務の専門家として全力でサポートいたしますので、
どうぞお気軽にご相談ください。
中小企業の皆さまが安心して経営に専念できるよう、
「寛容・尊重・応援」の姿勢で伴走してまいります。

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