クレメンティア
税理士事務所
役員の再任登記を忘れるとどうなる?「過料」と法人税の意外な取扱い
会社経営をしていると、どうしても後回しになりがちな「登記手続き」。
しかし、役員の任期満了に伴う再任登記を忘れてしまうと、代表取締役個人に「過料」が科されることがあります。
では、その過料を会社が負担した場合、税務上は経費になるのでしょうか?
今回は、中小企業の経営者が意外と知らない
「役員変更登記のペナルティ」と「法人税の取扱い」について解説します。
■ 役員が再任された場合でも登記は必要
株式会社では、役員の任期が満了した後、同じ人が再び役員に選任された場合でも「役員変更(重任)登記」を行う必要があります。
「同じ人だから変更ないよね?」と思われがちですが、法律上は一度退任して再就任する扱いになるため、登記事項が変更されたと考えられるのです。
そしてこの登記は、
**任期満了から2週間以内**
に申請しなければなりません。
中小企業では、
・実務を社長が兼務している
・税理士や社労士はいても司法書士が関与していない
・任期管理をしていない
といった理由から、意外と忘れやすいポイントです。
■ 登記を忘れると「代表取締役個人」に過料
もしこの登記を期限内に行わなかった場合、会社法では
**代表取締役個人に対して100万円以下の過料**
が科される可能性があります。
ここで重要なのは、
**罰せられるのは会社ではなく代表者個人**
という点です。
実務では数万円〜十数万円程度のケースが多いですが、突然裁判所から通知が届くため、驚かれる経営者の方も少なくありません。
■ 会社が過料を払ったら経費になる?
では、この過料を会社が負担した場合、法人税の計算上どうなるのでしょうか。
結論から言うと、
**会社の損金(経費)にはなりません。**
法人税法では、
役員や従業員に科された
・罰金
・科料
・過料
・交通反則金
を会社が負担した場合、
**会社の業務に関連するものは損金不算入**
と定められています。
今回のケースでは、
役員変更登記は会社の業務に関連する手続き
であるため、会社が負担したとしても
**税務上は経費にできない**ことになります。
■ では給与扱いになるのか?
もう一つ気になるのが、
「役員給与扱いになるのでは?」
という点です。
法人税法では、
業務に関係のない個人的な罰金などを会社が払った場合
→役員給与扱い
となります。
しかし今回のケースは
**業務に関連する罰金**
なので、
・損金不算入
・給与にもならない
という扱いになります。
■ 実務的な経営アドバイス
実はこの問題、税務というより
**ガバナンス(会社管理)の問題**
です。
特に中小企業では
・役員任期の管理をしていない
・定款を確認していない
・株主総会議事録を作っていない
というケースが珍しくありません。
対策としては、
①役員任期を一覧管理する
②株主総会のスケジュールを決めておく
③司法書士と連携する
といった仕組みを作ることが重要です。
■ まとめ
今回のポイントを整理すると
・役員が再任された場合でも登記は必要
・任期満了から2週間以内に申請
・怠ると代表取締役個人に過料
・会社が払っても税務上は経費にならない
ということになります。
経営では「売上」や「利益」に意識が向きがちですが、
こうした**会社運営の基本手続き**も非常に重要です。
もし
「役員任期を把握していない」
「定款を最近見ていない」
という経営者の方は、ぜひ一度チェックしてみてください。
思わぬペナルティを防ぐことにつながります。
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