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赤字でも税金を払わなければいけないのはなぜですか?

赤字でも税金を払わなければいけないのはなぜ?知らないと損する税金の仕組み

会社の決算が赤字だったにもかかわらず、「なぜか税金の支払いがある」と戸惑う経営者や個人事業主は少なくありません。特に起業初年度や不調の年に直面することが多く、「利益が出ていないのに税金が発生するのは納得いかない」と感じる方もいるでしょう。
この記事では、赤字でも税金を支払う必要がある理由や、その背景にある税制度について、わかりやすく解説します。

赤字でも税金がかかるのは本当
結論から言えば、**赤字でも一定の税金を支払う必要があります**。特に法人の場合、たとえ損益上では赤字であっても、「法人住民税の均等割」や「消費税」など、利益に関係なく課される税金が存在します。
また、個人事業主でも、前年の消費税の課税売上高に基づいて消費税が発生する場合があり、「所得ゼロ=税金ゼロ」ではない点に注意が必要です。

利益以外にも課税対象がある理由
税金には大きく分けて「所得課税」と「均等課税」の2種類があります。多くの人が「赤字=所得がない=税金ゼロ」と考えがちですが、実際にはそれだけでは済まない理由があります。
例えば、法人にかかる「法人住民税」は、利益に応じて課税される「法人税割」と、利益に関係なく課される「均等割」に分かれています。均等割は、会社の規模や資本金等に基づいて定額で課税されるもので、最低でも年間7万円程度(都道府県・市区町村により異なる)支払う必要があります。
また、消費税は「預かり税」とも呼ばれ、売上時に顧客から預かった消費税を国に納める義務があります。たとえ自社が赤字であっても、売上が一定以上ある場合は消費税の納税義務が生じます。

よくある誤解
「赤字ならすべての税金が免除される」というのは誤解です。利益に応じて課される法人税や所得税は赤字であれば基本的にかかりませんが、それ以外の税金(均等割や消費税など)は赤字でも関係なく課税されます。
また、「消費税は払わなくてもいい」という誤解もありますが、消費税は売上に含まれており、実質的には顧客から預かっているため、事業者がそのまま使ってしまうと、後で納税の際に資金不足に陥ることがあります。

実務での注意点
赤字でも発生する税金を見落とすと、資金繰りに大きな影響を及ぼします。特に以下の点に注意が必要です。
- 法人住民税の均等割は必ず発生するため、年間予算に織り込んでおく
- 消費税の納税資金は売上と同時に別口座に積み立てておく
- 赤字でも法人税申告書の提出義務はある(提出しないと「無申告」としてペナルティ対象)
- 青色申告を活用すれば赤字を翌年以降に繰り越して節税効果が期待できる

士業としての支援内容
行政書士や税理士などの専門家は、こうした赤字時の税務対応について幅広くサポートしています。具体的には以下のような支援が可能です。
- 税務申告の代行(赤字でも申告義務はあるため)
- 消費税や住民税の試算・資金繰りアドバイス
- 赤字の繰越控除を活用した節税プランの提案
- 節税対策や資金管理のコンサルティング
特に創業間もない法人や、業績不振で今後の展望を見直したい場合には、専門家の支援を受けることで不要なトラブルや税負担を回避できます。

まとめ
赤字だからといって完全に税金がゼロになるわけではありません。法人住民税の均等割や、売上に基づく消費税など、「利益とは無関係に発生する税金」があるため、赤字決算でも税金を支払う必要があります。
税務の仕組みを正しく理解し、計画的に資金管理を行うことで、思わぬ納税トラブルを防ぐことができます。不安がある場合は、早めに税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

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