クレメンティア
税理士事務所
学生の子が「スキマバイト」で得た収入、扶養や税務にどう影響?経営者の親が知っておくべき最新ルール
「うちの子、最近スキマバイトにハマってるんですよ」
そんな話が他人事ではなくなる今、親が経営者であればこそ、子どもの収入が自分の扶養控除や税務上の取扱いにどう影響するか、正確に把握しておく必要があります。
特に、**令和7年度の税制改正**と、スキマバイトに伴う「源泉徴収票の扱い」がポイントです。
今回のブログでは、学生の子を持つ経営者の皆様向けに、両者を横断して分かりやすく整理してお届けします。
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### スキマバイトでも「源泉徴収票」の交付は義務です
最近、学生を中心に1日単位や数時間単位で働く「スキマバイト」が急増しています。
多くの場合、スキマバイトでは**日雇い契約(丙欄)**として雇用されるため、企業が税務署に提出する源泉徴収票は**「年50万円以下」なら提出不要**とされています。
ただし注意すべきは、**これはあくまで“税務署提出用”の話。**
本人に対して交付する「本人交付用」は、**たとえ1日だけの勤務でも、給与が支払われた時点で必ず交付義務があります。**
交付タイミングは、契約が継続していない場合、**退職後1ヶ月以内**が原則です。
現在ではアプリ上でダウンロードできる場合もありますが、**本人が源泉徴収票を把握・保存していないケースも多い**ため、親としてはサポートが必要になる場面もあります。
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### 令和7年度から大きく変わる「年収の壁」
これまでは、**年収103万円**を超えると、所得税が課税される・親の扶養から外れるなど、さまざまな影響があるため、学生は収入を調整しながら働くことが一般的でした。
しかし、2025年(令和7年)からの改正で、その「壁」が大きく動きます。
#### ▸ 所得税の壁:103万円 → **160万円**
- **基礎控除や給与所得控除の見直し**により、**給与収入160万円以下**なら所得税がかからなくなります。
- ただし「勤労学生控除」は、この見直しにより**実質的に使えなくなった**点に注意。
#### ▸ 住民税の壁:引き続き **110万円**
- 所得が110万円を超えると、自治体によって住民税が課税されます。
- こちらは**従来通りの壁**であり、扶養に影響が出るかの判断材料にもなります。
#### ▸ 社会保険の壁:130万円 → **150万円(19〜22歳)**
- 2025年10月以降、19〜22歳の学生に限り、扶養の認定基準が**130万円から150万円へ引き上げ**られます。
- これにより、**社会保険料を負担せずに働ける収入の上限が上がる**というメリットがあります。
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### 親の扶養控除に影響する「特定親族特別控除」とは?
今回の改正により、扶養控除にも新たな制度が追加されました。
対象:**19〜22歳の大学生等を扶養する親**
控除額の変化は以下の通り:
- **150万円以下の収入** → 満額控除(63万円)
- **150万円超〜188万円以下** → 控除額が段階的に減少
- **188万円超** → 控除の適用外
つまり、**学生バイトで150万円まで稼いでも、親は満額の扶養控除が受けられる**という形に整理されました。
これは、従来の「103万円の壁」を超えると即アウトだった時代とは大きな違いです。
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### 経営者として押さえておきたい対応策
1. **お子さんの収入状況の早期把握**
バイトが複数ある場合、源泉徴収票を集めないと年間収入が見えません。早めに実態を把握しておくことが重要です。
2. **自社のアルバイト雇用でも同じ対応が必要**
スキマバイトの受入れを自社で行う場合も、**たとえ短期でも源泉徴収票の本人交付は必須**です。
3. **社員向けにも正確な情報提供を**
社員に学生の子どもがいる家庭も多く、経営者自身が正しい情報を持っておくことで、社内教育や福利厚生の面でも信頼につながります。
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### まとめ:新しい働き方の時代には「親の知識」が問われる
働き方が多様化する中で、学生の収入や課税の仕組みも大きく変わってきています。
経営者として、そして親として、**法改正の影響を正確に把握し、冷静に判断できる力がこれからますます求められます。**
スキマバイトで経験を積むお子さんを応援しつつ、税務面でのリスクを最小化していきましょう。
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クレメンティア税理士事務所
税理士/CFP®/1級FP技能士 小林 匠
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